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Episode 107

例外対応 ― 想定外に強い経営者の判断基準とは?

13分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング ― たった1時間で下した決断

タカシ

皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャスト、今回のテーマは「例外対応」です。ミカさん、いきなりですが、もし自社の主力商品に毒物が混入されたという報告が入ったら、経営者としてどうしますか?

ミカ

えっ、毒物ですか?それはもう、パニックになりますよ。何から手をつけていいか分からない...。

タカシ

ですよね。でも実は1982年にジョンソン・エンド・ジョンソンのCEOは、この状況でたった1時間で全米規模の自主回収を決断したんです。結果、2か月後には売上が80%まで回復した。この判断ができた秘密が、今日のテーマ「例外対応」なんです。

ミカ

1時間で決断して、しかも売上が回復したんですか。それはすごいですね。例外対応って、そんなに経営に影響があるものなんですか?

タカシ

大いにあります。経営をしていると、マニュアル通りにいかない場面が必ず来ます。その時にどう動けるかで、会社の存続すら変わってくる。今日は例外対応の基本から、すぐ使える実践法までお話しします。

Chapter 2

例外対応の基本 ― 3つの柱を押さえる

ミカ

そもそも「例外対応」って、具体的にはどういうことを指すんですか?トラブル対応とは違うんでしょうか。

タカシ

いい質問ですね。例外対応とは、通常の業務フローやマニュアルではカバーできない事態が起きた時に、誰が、どの基準で、どこまで判断してよいかを事前に決めておく仕組みのことです。単なるトラブル対応との違いは、仕組みとして設計されているかどうかなんです。

ミカ

なるほど、事前に設計しておくってことがポイントなんですね。でも想定外のことに対して、事前に準備するって矛盾してませんか?

タカシ

そう思いますよね。ただ、準備するのは「個別の事態への対処法」ではなくて、「判断の枠組み」なんです。具体的には3つの柱があります。第一に判断基準の明確化。金額や影響範囲、緊急度といった軸で対応レベルを分けておく。

ミカ

判断基準を事前に決めておくんですね。例えばどんな基準ですか?

タカシ

例えば、損害額が100万円以下なら現場リーダーが判断、1000万円以上なら経営陣に即報告、顧客の安全に関わるものは金額に関係なく最優先対応、といった具合です。先ほどのジョンソン・エンド・ジョンソンでは「顧客の安全が最優先」という基準が明確だったから、1時間で決断できたんです。

ミカ

ああ、だから迷わなかったんですね。基準があれば判断のスピードが上がるって、すごく納得です。残りの2つも教えてください。

タカシ

第二の柱はエスカレーションルールです。現場で判断できない場合に、誰に、どのタイミングで報告するかを決めておく。ここで大事なのは、悪い報告ほど早く上げるという文化を作ることなんです。

ミカ

悪い報告って、つい後回しにしたくなりますよね。上司に怒られるんじゃないかとか、自分で何とかしようとか。

タカシ

まさにそこが落とし穴なんです。報告が遅れて問題が大きくなるケースは本当に多い。だから「悪い情報を早く上げた人を評価する」という仕組みが必要です。そして第三の柱が初動の速さ。情報が不完全でも、まず被害拡大を止める行動を取ることが求められます。

ミカ

判断基準、エスカレーションルール、初動の速さ。この3つが揃っていれば、想定外の事態でも慌てずに動けるということですね。

Chapter 3

実務で見る成功と失敗 ― トヨタの教訓

タカシ

ここからは実務での事例を見ていきましょう。意外なことに、あのトヨタでさえ例外対応で大きな失敗をしているんです。

ミカ

トヨタが失敗ですか?トヨタ生産方式とか、品質管理のイメージが強いんですけど。

タカシ

2008年のリーマン・ショックの時、トヨタは過去の成功体験への過信から初動が遅れて、創業以来初の営業赤字を計上してしまったんです。これは、まさに「自分たちは大丈夫」という慢心が例外対応を鈍らせた典型例です。

ミカ

へえ、トヨタでもそうなるんですね。でもその後はどうなったんですか?

タカシ

ここがトヨタのすごいところで、この失敗を徹底的に振り返って、例外対応の仕組みを根本から見直したんです。その結果、2020年のコロナ禍では他の自動車メーカーに先駆けて業績を回復させました。失敗から学び、仕組みを改善し続けることの大切さがよく分かる事例です。

ミカ

一度失敗しても、そこから学んで次に活かせるかどうかが重要なんですね。皆さんの会社でも心当たりがあるかもしれませんが、過去のトラブル対応って振り返りをしていますか?

タカシ

いいポイントですね。実は多くの経営者が陥りやすい失敗パターンがあるんです。まず「何かあったら相談して」とだけ言って、具体的な判断基準を示さないケース。これだと現場は何を基準に相談すべきか分からず、結局対応が遅れます。

ミカ

あ、それはよく聞きますね。「いつでも相談して」って言ってくれる上司って一見いい上司に見えるけど、基準がないと逆に困るんですね。

タカシ

そうなんです。もう一つよくあるのが属人化の問題です。「あの人がいれば大丈夫」という状態は、その人が病気や出張でいない時にリスクが一気に顕在化します。例外対応こそ、特定の人に依存しない仕組みにしておく必要があります。

Chapter 4

明日から使えるアクションプラン

ミカ

例外対応の重要性はよく分かりました。でも、これから経営を始める人が、具体的に何から手をつければいいですか?

タカシ

4つのステップをお勧めします。まず第一に、自社の業務で想定外が起きやすい場面を3つ洗い出してみてください。例えば、納期遅延、クレーム対応、システム障害など、過去に実際に困った場面を思い出すといいです。

ミカ

3つに絞るのがポイントですね。全部やろうとすると大変ですもんね。

タカシ

その通り。第二に、その3つについて「誰が判断するか」「いつエスカレーションするか」を紙に書いて明文化します。第三に、月1回でいいので、実際に起きた例外を振り返って、対応フローを更新する。PDCAを回すんです。

ミカ

月1回の振り返りなら、それほど負担じゃないですね。4つ目は何ですか?

タカシ

第四に、これが一番大事かもしれませんが、「悪い報告を早く上げた人を評価する」仕組みを作ることです。怒るのではなく、早く報告してくれたことに感謝する。これだけで、組織の例外対応力は劇的に変わります。

ミカ

確かに、報告しやすい雰囲気って大事ですよね。怒られると分かっていたら、誰だって隠したくなりますもん。

Chapter 5

クロージング ― 例外対応は経営者の必修科目

タカシ

では最後にまとめましょう。今日のポイントは3つです。一つ目、例外対応の3つの柱は、判断基準の明確化、エスカレーションルール、初動の速さ。二つ目、例外を防ぐのではなく、例外が起きた時にどう動くかを事前に設計しておく。

ミカ

そして三つ目は何ですか?

タカシ

三つ目、失敗を振り返り、仕組みを改善し続けること。トヨタの例でも見たように、一度の失敗で終わりではなく、そこから学んで次に活かすことが大切です。例外対応は、経営者にとって避けて通れない必修科目です。

ミカ

今日の話を聞いて、まずは自分の業務で想定外が起きやすい場面を書き出すところから始めてみようと思いました。皆さんもぜひ試してみてください。

タカシ

ぜひやってみてください。それでは今回はここまでです。次回もお楽しみに。ありがとうございました。

ミカ

ありがとうございました。また次回お会いしましょう。