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Episode 113

顧客理解 ― 売れる営業の出発点は「聴くこと」にある

12分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング ― 顧客を理解するとは?

タカシ

みなさんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「顧客理解」です。ミカさん、突然ですけど、ドラッカーの有名な言葉を知っていますか?「企業の目的は顧客の創造である」と。実はこの言葉の裏側に、今日の本題があるんです。

ミカ

こんにちは、ミカです!ドラッカー、名前は聞いたことあります。顧客の創造ですか。でも「創造」って、お客さんを作り出すってことですか?ちょっとピンとこないんですが。

タカシ

いい質問ですね。簡単に言うと、顧客が本当に求めているものを理解して、それに応える価値を提供すること。つまり「顧客理解」こそが、事業の出発点なんです。ところが驚くべきことに、多くの営業の現場ではこれができていないんですよ。

ミカ

えっ、そうなんですか?営業って顧客と一番近い存在じゃないですか。それなのに顧客理解ができていないって、ちょっと意外ですね。

Chapter 2

顧客理解の3つの層 ― 顕在・潜在・インサイト

タカシ

さて、ここが経営の面白いところなんですが、顧客のニーズには実は3つの層があるんです。まず「顕在ニーズ」、これは顧客自身が自覚しているもの。例えば「コストを下げたい」とか「売上を伸ばしたい」とか。

ミカ

なるほど、それは分かりやすいですね。お客さん自身が「こういうのが欲しい」って言ってくれるやつですよね。残りの2つは何ですか?

タカシ

2つ目が「潜在ニーズ」。顧客自身もまだ言語化できていない課題です。例えば「なんとなく業務が非効率だ」と感じているけど、具体的に何が問題か分からない状態。そして3つ目が「インサイト」。これは顧客の深層心理にある、行動の本当の動機です。

ミカ

へえ〜、インサイトですか。それって具体的にはどういうことですか?なんか難しそう。

タカシ

分かりやすい例を挙げましょう。ある企業が「オフィスにお菓子の棚を設置する」というサービスで成功しました。オフィスワーカーに聞くと「コンビニに行くのが面倒」と言う。これが顕在ニーズです。でもインサイトは「仕事の合間にちょっとリフレッシュしたいけど、席を離れると集中力が途切れるのが嫌」という心理なんです。

ミカ

ああ、それすごく分かります!私もオフィスで「ちょっと甘いもの食べたいけど、わざわざ外に出るのはな」って思うことありますもん。表面的な理由と本当の動機は違うんですね。

Chapter 3

行動データと心理データ ― 2つの軸で顧客を捉える

タカシ

顧客理解をさらに深めるには、「行動データ」と「心理データ」の2つの軸で見ることが重要です。行動データは購買履歴やWebサイトのアクセスログなど、客観的に観測できるもの。心理データはアンケートやインタビューで把握する、顧客の内面的な情報です。

ミカ

行動と心理、両方見るんですね。でも、片方だけじゃダメなんですか?例えば購買データだけ見ていれば、お客さんが何を求めているか分かりそうな気がしますけど。

タカシ

いいポイントですね。例えば、あるECサイトで「カートに入れたけど購入しなかった」というデータがあったとします。行動データだけでは「買わなかった」という事実しか分からない。でも心理データを掛け合わせると、「送料が高かった」「他社と比較中だった」「決裁者の承認待ちだった」と理由が見えてくるんです。

ミカ

なるほど!「何をしたか」だけじゃなくて「なぜそうしたか」が分かると、打つ手が全然変わってきますね。送料が原因なら送料無料キャンペーン、比較中なら差別化ポイントの訴求って感じで。

Chapter 4

よくある失敗パターン ― 営業がハマる落とし穴

タカシ

さて、ここからは実は多くの経営者や営業が陥りがちな、顧客理解の失敗パターンをお話しします。一番多いのは、商談で自社製品の説明ばかりしてしまうこと。初回商談では顧客が話す時間が全体の6割以上を占めるのが理想なんですが、実際は逆転していることが多い。

ミカ

6割以上!それって営業の方がほとんど聞き役ってことですよね。えーと、私が営業だったら、つい自分の商品のいいところを一生懸命説明しちゃいそうです。

タカシ

そうなんです。もう一つの典型的な失敗は、属性データだけで顧客を理解した気になること。「30代男性、IT企業勤務」という情報だけでは、何も提案できませんよね。大事なのは、その人がどんな課題を抱えていて、どんな状況で意思決定するかという文脈情報なんです。

ミカ

確かに、「30代男性」って言われても、何が欲しいかなんて全く想像できないですもんね。あと、自分の商品に自信がありすぎて「これは絶対いいはずだ」って思い込んじゃうパターンもありそうですよね。

タカシ

まさにそれです。自社製品への過信ですね。ドラッカーも「企業が自ら生み出していると考えるものが、最も重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが決定的に重要である」と言っています。自分たちが価値だと思っているものと、顧客が感じている価値は違うことが多いんです。

Chapter 5

クロージング ― 明日から実践できるアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションを3つお伝えします。まず1つ目、商談の冒頭15分は質問に徹すること。「御社の一番の課題は何ですか?」「理想の状態はどのようなものですか?」とシンプルに聞くだけで、提案の質がガラッと変わります。

ミカ

15分間ひたすら質問!それならすぐにできそうですね。2つ目は何ですか?

タカシ

2つ目は、顧客の言葉をそのままメモすること。顧客が使う表現をそのまま記録して、提案書にもその言葉を使うんです。「コスト削減」と「ムダの排除」では、同じ意味でも刺さり方が全然違います。3つ目は、四半期に一度は既存顧客に「今の優先課題は何ですか?」と確認する場を設けること。顧客の状況は常に変わりますから。

ミカ

なるほど、顧客の言葉をそのまま使うって、すごくシンプルだけど効果ありそうですね。皆さんもぜひ次の商談で試してみてください!

タカシ

今日のまとめです。顧客理解とは、属性を知ることではなく、顧客の課題・行動・心理の3つを深く把握すること。顕在ニーズ、潜在ニーズ、インサイトの3層を意識すること。そして何より、まず聴くことが出発点です。ドラッカーの言う「顧客の創造」は、顧客を理解することから始まります。

ミカ

今日もたくさん学びがありました!顧客理解って奥が深いですね。それでは皆さん、また次回お会いしましょう。ありがとうございました!

タカシ

ありがとうございました。