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Episode 118

継続率 ― 穴の空いたバケツに水を注いでいませんか?

13分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング ― 離脱率5%の改善で利益25%アップ?

タカシ

皆さんこんにちは、経営についてゆるく深く学んでいくポッドキャスト、今回もよろしくお願いします。今日のテーマは「継続率」です。

ミカ

よろしくお願いします!継続率って、お客さんがどれくらいリピートしてくれるかっていう話ですよね。大事そうだけど、具体的にどれくらいインパクトがあるものなんですか?

タカシ

いきなり驚きの数字をお伝えすると、離脱率をたった5%改善するだけで、利益が25%も改善するという研究結果があるんです。これは「5:25の法則」と呼ばれていて、継続率がいかに経営のインパクトに直結するかを示しています。

ミカ

え、5%の改善で25%の利益アップ!?それはすごいですね。新しいお客さんを取りに行くよりも、今のお客さんに残ってもらう方が効率がいいってことですか?

タカシ

まさにその通りです。新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍以上かかるとも言われています。今日はこの継続率について、計算方法から改善の具体策まで、しっかり掘り下げていきましょう。

Chapter 2

継続率の基本 ― 計算方法とベンチマーク

タカシ

まず基本から押さえましょう。継続率の計算式はシンプルで、「継続利用した顧客数 ÷ 対象期間開始時の顧客数 × 100」です。たとえば月初に100人のお客さんがいて、月末に85人が残っていれば、継続率は85%ですね。

ミカ

なるほど、計算自体はシンプルですね。ちなみに85%って良い数字なんですか?業界によって違うとは思うんですけど。

タカシ

いい質問ですね。たとえばSaaS業界、つまりクラウドサービスのビジネスでは、月次継続率が80〜90%が一般的な水準とされています。これを下回ると、サービスの品質や顧客対応に課題がある可能性が高いですね。

ミカ

80〜90%かあ。逆に言うと、毎月10〜20%のお客さんが離れていくのが普通ってことですよね。それって年間で見るとかなりの人数になりませんか?

タカシ

そこがポイントなんです。月次解約率が10%だと、年間では約72%のお客さんが入れ替わる計算になります。だからこそ、経営者は月次で継続率をウォッチする必要があるんですね。そして継続率の裏返しが解約率、いわゆるチャーンレートです。100%から継続率を引いた数字ですね。

ミカ

チャーンレートっていう言葉、最近よく聞きますよね。解約率のことだったんですね。月次で見ると小さく感じても、年間だと大きいっていうのは怖い話です。

Chapter 3

実務の具体例 ― 化粧品ECの「階段図」分析

タカシ

ここで実際の事例を紹介しましょう。ある化粧品のECサイトで、顧客の獲得年度ごとに新規と継続を分けて分析する「階段図」というものを使ったケースがあります。

ミカ

階段図?聞いたことないです。どういうものなんですか?

タカシ

1年目に100人の新規顧客がいて、平均2回購入、単価は1万円でした。ところが2年目になると、残ったのは30人。継続率は30%です。ただし、その30人は平均4回も購入していたんですね。

ミカ

へえ〜、残った人は購入頻度が倍になってるんですね。ということは、その30人からの売上って結構大きいんじゃないですか?

タカシ

その通りです。1年目は100人×2回×1万円で200万円。2年目は30人×4回×1万円で120万円。人数は3分の1以下なのに、売上は6割も維持できている。継続顧客のLTV、つまり顧客生涯価値がいかに高いかがわかりますよね。

ミカ

なるほど!この分析をきっかけに、その会社は何か変わったんですか?

タカシ

はい。新規獲得の広告費に偏っていた投資を見直して、既存顧客の継続率を上げる施策、たとえばオンボーディングの強化やカスタマーサクセスの導入に予算を振り向けたそうです。それだけで全体の収益構造が大きく改善したんですね。

Chapter 4

よくある失敗パターン ― 穴の空いたバケツに水を注ぐ

タカシ

さて、ここからは経営者が陥りやすい失敗パターンについて話しましょう。一番多いのが「穴の空いたバケツに水を注ぐ」状態です。広告費をどんどん投入して新規顧客を集めるんだけど、継続率が低くてザルのように流出してしまう。

ミカ

あー、それはイメージしやすいですね。いくら集客しても離脱が多かったら意味がないですもんね。他にもよくある失敗ってありますか?

タカシ

2つ目は、解約理由を分析しないこと。なぜお客さんが離れるのか把握しないまま、的外れな施策にコストをかけてしまう。3つ目は、継続率を全体の平均値だけで見てしまうことです。

ミカ

平均値だけだとダメなんですか?全体で85%ならまあまあ良さそうに見えますけど。

タカシ

そうなんですが、たとえばプランAの顧客は継続率95%なのにプランBは60%だとしたら、全体平均は問題なく見えても実はプランBに深刻な問題がある。顧客セグメント別、契約プラン別に分解して初めて改善の糸口が見えるんです。

ミカ

たしかに、全体で見ると隠れてしまう問題があるんですね。それはちょっと盲点でした。

タカシ

もう一つ注意したいのが、安易な値引きで引き止めること。解約しそうな顧客に割引を提供すると、一時的には残ってくれますが、値引きがないと継続しない顧客体質を作ってしまう。利益率も悪化するので、根本原因の解決が先です。

Chapter 5

クロージング ― 明日から始められる4つのアクション

ミカ

さて、ここまで継続率について色々と学んできましたけど、リスナーの皆さんが明日から実践できることって、具体的に何がありますか?

タカシ

4つのアクションを提案します。まず1つ目は、月次継続率を顧客セグメント別に計測して可視化すること。数字が見えないと改善もできませんからね。2つ目は、解約時のアンケートやヒアリングを仕組み化して、VOC、つまり顧客の声として蓄積すること。

ミカ

計測と解約理由の把握が最初の一歩なんですね。残りの2つは何ですか?

タカシ

3つ目はオンボーディングの強化です。サービスを使い始めた直後の体験が継続率を大きく左右します。初回利用のガイドやフォローアップメールなどを設計しましょう。そして4つ目は、カスタマーサクセスの導入。受け身のサポートではなく、お客さんが成果を出せるよう能動的に支援する体制を作ることです。

ミカ

継続率って、シンプルな指標だけど奥が深いですね。新規獲得ばかりに目が行きがちだけど、今いるお客さんを大切にすることが実は一番の近道だってことがよくわかりました。

タカシ

そうですね。「5:25の法則」のように、小さな改善が大きな利益につながる。ぜひ皆さんも、自分のビジネスの継続率を一度チェックしてみてください。それでは今日はここまで。また次回お会いしましょう!

ミカ

ありがとうございました!次回もお楽しみに!