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Episode 18

顧客課題 ― お客さんの「本当の困りごと」を見つける技術

13分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング:なぜ良い製品が売れないのか?

タカシ

みなさんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「顧客課題」。実はですね、ある税務ソフトの会社が、自分たちの顧客の課題を完全に間違えていたという事例があるんです。彼らは「確定申告を楽にすること」が課題だと思っていた。でも実際は全然違った。

ミカ

こんにちは、ミカです。えっ、確定申告を楽にするのが課題じゃなかったんですか?税務ソフトなのに?それって一体どういうことなんでしょう。

タカシ

そうなんです。実際に税理士さんたちにヒアリングしたら、確定申告の作成は業務のごく一部で、本当に困っていたのは「顧客に最適な税務戦略を立案・実行すること」だったんですね。課題の捉え方が変わると、作るべき製品がまるっきり変わる。

ミカ

なるほど。お客さんの本当の困りごとって、自分たちが思っているものと全然違うことがあるんですね。今日はその見つけ方を教えてもらえるということですね。楽しみです。

Chapter 2

顧客課題の基本:顕在課題と潜在課題

タカシ

では本題に入りましょう。顧客課題には大きく分けて2種類あります。「顕在課題」と「潜在課題」です。顕在課題は顧客自身が「ここに困っている」と自覚しているもの。一方で潜在課題は、顧客自身も気づいていない、もっと根っこにある問題です。

ミカ

うーん、顧客自身が気づいていない課題っていうのがちょっとイメージしにくいんですが、具体的にはどういうことですか?

タカシ

いい質問ですね。有名なたとえがあります。「ドリルを買いに来た人が欲しいのはドリルではなく穴である」というものです。でもさらに言えば、その人は「棚を取り付けて部屋を整理したい」んです。ドリルが欲しいというのは顕在課題で、部屋を整理したいというのが潜在課題です。

ミカ

あー、なるほど!つまり表面に見えている要望の裏に、もっと本質的な「やりたいこと」が隠れているわけですね。それを見つけるかどうかで、提供するものが変わってくると。

タカシ

まさにそのとおりです。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授が提唱した「Jobs to be Done」というフレームワークでは、顧客は製品を買うのではなく、自分がやりたい「ジョブ」を片付けるために製品を「雇う」と考えます。

ミカ

製品を「雇う」って面白い表現ですね。でもそう考えると、お客さんが本当に片付けたいジョブが何なのかを理解しないと、的外れな製品を作ってしまいそうです。

Chapter 3

実例に学ぶ:課題を捉え直して成功した企業

タカシ

ここからは実際の事例を見ていきましょう。さっきの税務ソフトの話に加えて、国内の事例も紹介します。音楽レッスン事業のビー・ファクトリーという会社があるんですが、コロナ禍で売上がなんと90%も減ったんです。

ミカ

90%減!それはもう、ほぼ売上がゼロに近いってことですよね。音楽教室だと対面が基本だから、緊急事態宣言で一気にお客さんが来なくなったんでしょうか。

タカシ

そうなんです。ここでポイントなのが、彼らが顧客課題をどう捉え直したかということ。顧客の課題は「対面でレッスンを受けたい」ではなくて「音楽を学び続けたい」だったんですね。そこに気づいてわずか2ヶ月でオンラインレッスンを立ち上げた。

ミカ

2ヶ月で!すごいスピードですね。しかも課題の捉え方を変えただけで、解決策が見えてきたわけですね。「対面でやりたい」だと行き詰まるけど、「学び続けたい」なら方法は色々ある。

タカシ

おっしゃるとおりです。結果的に全体の10〜15%のお客さんがオンラインレッスンを希望して、新しい収益の柱になりました。顧客課題の本質を見極められたからこそ、ピンチをチャンスに変えられたんです。

Chapter 4

こうして失敗する:顧客課題のよくある間違い

タカシ

ここが経営の面白いところなんですが、顧客課題の捉え方を間違えるパターンにも法則性があるんです。よくある失敗を4つ紹介しますね。まず1つ目が「自社都合で課題を定義してしまう」というもの。

ミカ

自社都合というと、自分たちが作れるものありきで「きっとお客さんはこれに困っているはずだ」と決めつけてしまうってことですか?

タカシ

そのとおりです。典型例がAmazonのFire Phoneです。高機能をたくさん詰め込んだんですが、顧客が求める価値と価格が見合わなかった。Amazonほどの会社でも、技術起点で考えると顧客課題を見誤ることがあるんです。

ミカ

へえー、Amazonでもそういう失敗があるんですね。他にはどんなパターンがあるんですか?

タカシ

2つ目は「ターゲットと実際の顧客がずれている」パターンです。スーツのサブスクサービス「suitsbox」は20〜30代をターゲットにしたんですが、実際の利用者は40代が中心だった。想定と実態の乖離がコスト増を招いて、結局サービスを終了してしまいました。

ミカ

ターゲットが違うと、マーケティングもプライシングもずれちゃいますもんね。3つ目、4つ目も気になります。

タカシ

3つ目は「顕在課題だけを見る」。お客さんが言葉にした要望をそのまま鵜呑みにして、その裏にある本当のニーズを掘り下げない。そして4つ目が「課題の検証をしない」。仮説を立てるだけで顧客に確認せず、いきなり大きな投資をしてしまうパターンです。

ミカ

なるほど。共通しているのは、結局お客さんの声をちゃんと聞いていないということですよね。自分たちの思い込みで突き進んでしまうのが一番危険だと。

Chapter 5

クロージング:明日からできるアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションを3つお伝えします。まず1つ目。顧客5人に「一番困っていることは何ですか」と直接聞いてみてください。そして答えが返ってきたら「なぜ?」を3回繰り返して深掘りする。

ミカ

5人っていうのが具体的で良いですね。「なぜ?」を3回というのも、やってみたらかなり深いところまで掘れそうです。2つ目は何ですか?

タカシ

2つ目は、顧客課題を「〇〇が△△なので□□できない」という形で言語化すること。たとえば「忙しい経営者が財務を学ぶ時間がないので、適切な投資判断ができない」みたいに。課題が曖昧だと解決策も曖昧になってしまいますからね。

ミカ

おー、このフォーマットを使うと一気に整理できそうですね。3つ目もお願いします。

タカシ

3つ目はバリュープロポジションキャンバスを使うことです。顧客の「やりたいこと」「痛み」「得たい成果」と、自社が提供できる価値を一枚の図で整理する。ネットで検索すればテンプレートが見つかりますので、ぜひ試してみてください。

ミカ

今日のお話を聞いて、顧客課題って事業の土台中の土台なんだなと改めて感じました。お客さんの本当の困りごとを見つけることが、すべての始まりなんですね。

タカシ

そうですね。どんなに素晴らしい技術や製品があっても、顧客の課題を解決していなければ意味がない。ぜひ皆さんも自分の事業に当てはめて考えてみてください。それでは今日はこのあたりで。ありがとうございました。

ミカ

ありがとうございました!次回もお楽しみに。