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Chapter 1 オープニング ― 顧客価値って何だろう?
皆さんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「顧客価値」。実はある物流会社が、トラックの貸し出しという既存サービスに「ドライバー付き」を加えただけで、事業を大きく転換させたんです。たった一つの顧客の声がきっかけでした。
こんにちは、ミカです。えっ、ドライバー付きにしただけで?それだけで事業が変わるって、ちょっと驚きですね。顧客価値って、なんとなく聞いたことはあるんですけど、正直ちゃんと理解できていないかも。
そうなんですよ。顧客価値って経営の中で最も基本的で、でも最も奥が深い概念なんです。ドラッカーも「事業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である」と言っています。今日はこの顧客価値について、一緒に掘り下げていきましょう。
ドラッカー!有名ですよね。顧客の創造かあ。ぜひ分かりやすく教えてください!
Chapter 2 顧客価値の基本 ― 価値を決めるのは誰か
まず基本から整理しましょう。顧客価値というのは、簡単に言うと「お客さんが受け取る便益」から「お客さんが負担するコスト」を引いたものです。コストというのはお金だけじゃなくて、時間や手間も含みます。
なるほど。便益マイナスコストですね。例えば、すごく美味しいレストランでも、予約が取りにくくて2時間待ちだったら、コストが高くて価値が下がるってことですか?
まさにその通りです!そしてここが一番大事なポイントなんですが、価値を決めるのは企業側ではなく顧客側なんです。ドラッカーも「顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが決定的に重要である」と言っています。
あっ、それって意外と見落としがちかも。作る側は「この機能がすごい」って思っていても、お客さん側は全然違うところに価値を感じてるかもしれないってことですよね。
そうなんです。実は顧客価値には4つの段階があるんですよ。まず「基本価値」、これは商品に絶対必要な最低限の機能。次に「期待価値」、顧客が当然あると思っている品質です。例えばスマホなら、電話ができるのが基本価値、バッテリーが一日持つのが期待価値ですね。
うんうん、分かります。バッテリーが半日で切れたら不満ですもんね。残りの2つは何ですか?
3つ目が「願望価値」。あれば嬉しいけど、なくても許せる付加価値です。そして4つ目が「予想外価値」。期待を超える驚きの体験ですね。競争が激しい市場では、基本価値や期待価値だけだと差別化できません。願望価値や予想外価値の領域で勝負することが重要になってくるんです。
へえ〜、4段階もあるんですね。予想外価値って、例えばどういうものですか?ちょっとイメージが湧きにくくて。
Chapter 3 実例に学ぶ ― 顧客価値で事業を変えた企業たち
いい質問ですね。冒頭でお話しした物流会社の例を詳しく紹介しましょう。株式会社ハーツという会社で、もともとは大手物流会社の下請けが中心でした。ある時、顧客から「都内を運転するのが不安だから、ドライバー付きでトラックを借りたい」と言われたんです。
ああ、確かに都内の運転ってプロでも大変ですもんね。特に大きいトラックだと怖いかも。
そこで生まれたのが「レントラ便」というサービスです。30分単位でプロのドライバー付きトラックをレンタルできる。ポイントは、トラックという「モノ」ではなく、安心して荷物を運べるという「体験」を価値として提供したことなんですよね。
なるほど!トラックを貸すんじゃなくて、不安を解消する体験を売ってるんですね。それは顧客の声をちゃんと聞いたからこそ生まれたサービスだ。
まさにそうです。同じような視点で成功しているのがAirbnbです。Airbnbって「安い宿泊施設」だと思われがちですが、実は提供している価値は「現地の暮らしを体験できること」なんです。ホテルでは味わえない、地元の人の生活空間に泊まるという体験ですね。
確かに!私もAirbnb使ったことありますけど、安いからじゃなくて、その街に住んでるみたいな気分が味わえるから選んでました。あれが顧客価値だったのかあ。
もう一つ面白い例がパタゴニアです。アウトドアウェアのブランドなんですが、高機能な服を提供するだけでなく、「環境保護への貢献」という価値も提供しています。顧客はパタゴニアの服を着ることで、環境に配慮した消費をしているという実感が得られるんですね。
へえ〜、モノを売ってるようで、実は意味や体験を売ってるんですね。機能だけで勝負するんじゃなくて、顧客が本当に求めているものに焦点を当てるのが大事なんだなあ。
Chapter 4 失敗パターン ― こうして顧客価値を見誤る
さて、ここからは経営者が陥りやすい失敗パターンを紹介しますね。よくある失敗パターンとして、実は3つの典型的な落とし穴があるんです。まず1つ目が「自分たちの想いが先行する」パターンです。
想いが先行する?起業家って情熱が大事って言いますよね。それが逆にダメになることもあるんですか?
情熱はもちろん大事なんですが、問題は「自分たちが作りたいもの」と「顧客が欲しいもの」がずれている時です。どんなに最先端の技術を使った革新的な商品でも、顧客が価値を感じなければ売れません。起業家の原体験に基づく想いは原動力として素晴らしいんですが、それを顧客の視点で検証するステップが必要なんです。
なるほど。想いは大事だけど、それが独りよがりになっていないか確認しなきゃいけないんですね。2つ目は何ですか?
2つ目は「価値の一方的な推定」です。これは、競合にない機能を見つけて「これがうちの強みだ!」と思い込むパターン。でも顧客に聞くと「その機能には特に価値を感じません」と言われてしまう。差があることと価値があることは、実は全く別なんですよ。
うわ、それは痛いですね。一生懸命開発した機能が、お客さんにとってはどうでもよかったっていう。それ、けっこうありそう。
そして3つ目が「全員に売ろうとする」パターン。ターゲットを絞らずに万人向けの価値を提供しようとすると、結局誰にも深く刺さらない中途半端なものになってしまいます。皆さんの会社でも心当たりがあるかもしれませんが、「うちのターゲットは全員です」と言ってしまうのは危険信号なんです。
それ、まさに私が経営者だったらやっちゃいそうです。お客さんを絞るのって怖いですよね。でもそこが大事なんだなあ。
Chapter 5 クロージング ― 明日からできるアクション
最後に、明日から実践できるアクションを3つお伝えしますね。まず1つ目、顧客に直接聞くこと。「なぜうちの商品を選んだのか」「何に一番価値を感じているか」を最低5人の顧客にヒアリングしてみてください。意外な答えが返ってくるはずです。
5人って具体的でいいですね!ちょっとした会話でもいいんですか?
もちろんです。形式ばったアンケートよりも、自然な会話の方がむしろ本音が聞けたりしますよ。2つ目は、バリュープロポジションキャンバスを書いてみること。顧客の「やりたいこと・悩み・求める成果」と、自社の「提供するもの・解消する悩み・生み出す成果」を一枚の図に整理するフレームワークです。
一枚の図に整理するだけで、自社の強みと顧客のニーズのギャップが見えそうですね。3つ目は?
3つ目は、競合との違いを顧客視点で一文にまとめること。「自社だけが提供でき、競合には提供できず、顧客が求めている価値」を言語化してみてください。この一文が言えるかどうかが、顧客価値を本当に理解しているかのリトマス試験紙になります。
なるほど〜。今日のお話を聞いて、顧客価値って結局「お客さんの立場で考える」ということに尽きるんだなって思いました。簡単そうで実はとても難しい。でもそこに向き合うのが経営の醍醐味なのかもしれませんね。
その通りですね。ぜひ皆さんも、自分の事業で「お客さんが本当に求めている価値は何か」を問い直してみてください。それでは今日はこのへんで。また次回お会いしましょう!
ありがとうございました!次回もお楽しみに。それではまた!