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Episode 20

ターゲット ─ 「全員に売る」は誰にも売れない

12分 5チャプター 日本語
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Chapter 1

オープニング ─ QBハウスが1000円カットで急成長できた理由

タカシ

皆さんこんにちは、タカシです。今日は経営戦略の中でもとても大事なテーマ、「ターゲット」について話していきます。ミカさん、QBハウスって知ってますか?

ミカ

もちろん知ってます!1000円カットのお店ですよね。駅の近くによくありますよね。

タカシ

そうそう。実はQBハウスが大成功した最大の理由が、まさに今日のテーマ「ターゲット」なんです。彼らは「忙しいビジネスマン」だけに狙いを絞って、シャンプーもシェービングも全部省いた。10分で終わるヘアカットという、ものすごく尖った価値提案をしたんですね。

ミカ

へえ〜、あのシンプルさって戦略だったんですね!でも「ターゲット」って、要するに「誰に売るか」ってことですよね?そんなに難しい話なんですか?

タカシ

いい質問ですね。実は多くの経営者が「ターゲットなんて当然わかってる」と思いながら、実際には全然絞れていないことが多いんです。今日はそのあたりを深掘りしていきましょう。

Chapter 2

ターゲットの基本 ─ STP分析と6Rフレームワーク

タカシ

まずターゲットの基本から整理しましょう。マーケティングの神様と呼ばれるフィリップ・コトラーが提唱した「STP分析」というフレームワークがあります。S、T、Pの三段階で戦略を組み立てるんです。

ミカ

STP...アルファベット三文字、ちょっと難しそうですね。具体的にはどういう意味なんですか?

タカシ

大丈夫、シンプルですよ。Sはセグメンテーション、つまり市場を細かく分けること。Tはターゲティング、その中から狙う層を選ぶこと。Pはポジショニング、選んだ市場で自社をどう位置づけるか決めること。この順番で考えるのがポイントです。

ミカ

なるほど、いきなりターゲットを決めるんじゃなくて、まず市場を分けて、それからどこを狙うか選ぶんですね。でも、どうやって「ここだ!」って決めるんですか?

タカシ

そこで役立つのが「6R」という評価指標です。市場規模、成長性、波及効果、到達可能性、競合状況、測定可能性。この6つの視点で市場を評価するんです。例えば、すごく魅力的な市場でも、自社の商品を届ける手段がなければ意味がないですよね。

ミカ

あー、たしかに。どんなにいい商品でも届けられなきゃ売れないですもんね。6つの視点でチェックすれば、感覚じゃなくてちゃんとした根拠で判断できるわけですね。

Chapter 3

成功事例に学ぶ ─ スターバックスと虎屋のターゲット戦略

タカシ

ここが経営の面白いところなんですが、ターゲットを絞ることで、むしろ大きく成功した事例を見てみましょう。スターバックスの話をさせてください。

ミカ

スタバ!大好きです。でもスタバってターゲットを絞ってるイメージあんまりないですけど...いろんな人が来てますよね?

タカシ

そう見えますよね。でも実は、もともとのターゲットは「都市部で働く、比較的所得の高いビジネスパーソン」なんです。フードコートは嫌だけどホテルのラウンジは高すぎる。その間のニーズを狙ったんですね。500〜600円台のコーヒーと居心地の良い空間をセットで提供した。

ミカ

えー!そうだったんですか。たしかに、最初から「みんなが来る場所」を作ったんじゃなくて、特定の層にとって最高の場所を作った結果、いろんな人が来るようになったってことですね。

タカシ

まさにその通りです。もう一つ面白い例が虎屋です。羊羹で有名な老舗和菓子屋さんですが、百貨店でしか売らない。スーパーには置かないんです。あえて販売間口を狭めることで、ブランド価値と高価格帯を維持している。

ミカ

うわあ、それって勇気がいりますよね。「もっとたくさんの場所で売ればもっと売れるのに」って思っちゃいそうですけど、あえて絞ることでブランドを守ってるんですね。

タカシ

そうなんです。ターゲットを絞るって、言い換えれば「誰に売らないかを決める」ことでもあるんですよね。これが戦略の本質でもあります。

Chapter 4

よくある失敗パターン ─ 「みんなに売りたい」症候群

タカシ

さて、ここからはよくある失敗パターンを見ていきましょう。一番多いのが、僕が「みんなに売りたい症候群」と呼んでいるものです。

ミカ

あはは、名前からしてもう想像つきます。「うちの商品は誰でも使えます!」っていうやつですよね?

タカシ

そうそう。「ターゲットは20代〜60代の男女です」とか言われると、それはターゲットを設定していないのと同じなんですよね。メッセージがぼやけて、結局誰の心にも響かない。

ミカ

たしかに...。でも経営者の気持ちもわかります。せっかく作った商品だから、できるだけ多くの人に買ってほしいですよね。

タカシ

気持ちはわかりますよね。でもここで考えてほしいのは、限られた経営資源です。広告費もスタッフの時間も有限ですから、全方位に手を出すと一つひとつが薄くなる。もう一つの失敗が、自社の技術や製品ありきでターゲットを後付けするパターンです。

ミカ

あー、「こんなすごい技術があるから、きっと誰かが欲しがるはず」みたいな?

タカシ

まさにそれです。顧客の課題から出発しないと、市場とのズレが起きる。あと忘れがちなのが、一度決めたターゲットを見直さないこと。市場も顧客のニーズも変わりますから、定期的な検証が必要なんです。

Chapter 5

クロージング ─ 明日からできるアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションをまとめましょう。まず一つ目。ターゲットを一人の具体的な人物として描いてみてください。年齢、職業、悩み、行動パターンまで。これをペルソナ設定と言います。

ミカ

具体的に一人の人をイメージするんですね。「30代で子育て中の共働きのお母さんで、時短を求めている」みたいな感じですか?

タカシ

そうです、まさにそのレベルの具体さが大事です。二つ目は、6Rの視点で市場をチェックすること。そして三つ目、これが一番大事かもしれませんが、「誰に売らないか」を明確にすること。ターゲット外を決めると、ターゲットがぐっと鮮明になります。

ミカ

今日の話を聞いて、ターゲットって単に「誰に売るか」じゃなくて、「誰に売らないかを決める覚悟」でもあるんだなって感じました。QBハウスもスタバも虎屋も、みんな何かを捨てて何かを得てますよね。

タカシ

素晴らしいまとめですね。ぜひ皆さんも、自分のビジネスのターゲットをもう一度見直してみてください。それでは今日はここまで。また次回お会いしましょう!

ミカ

ありがとうございました!皆さん、また次回もお楽しみに。バイバイ!