スクリプト
Chapter 1 オープニング
今日は SaaS マーケティングのデマンドジェネレーションです。実は B2B の買い手は、営業と話す前の初日に候補の大半を決め、その shortlist の中から 95 パーセントの確率で最終購入先を選ぶという調査があります。
えっ、それだと営業が頑張る頃にはかなり勝負がついているじゃないですか。資料請求してくれた人だけを追っていると、もう出遅れている可能性があるってことですよね。
その通りです。デマンドジェネレーションは、今すぐ客を獲る前に、まだ買う気が表面化していない市場へ課題認識と信頼を作り、買うときに思い出してもらう状態をつくる活動なんです。
なるほど。リード獲得のテクニックというより、候補に入る権利を先に取りにいく仕事なんですね。なんだかマーケというより経営の配線に近い話です。
Chapter 2 なぜ SaaS で重要なのか
SaaS で特に重要なのは、買い方が複雑だからです。6sense の調査では、B2B 購買は平均 10 人超の関係者が関わり、検討期間はほぼ 1 年。しかも一社あたり平均 17 本ものコンテンツに触れながら、多くを匿名で調べています。
ということは、フォーム送信した人だけを見ていると、調べてはいるけど名乗っていない人たちをごっそり見落とすわけですね。営業から見る景色が小さすぎるかもしれません。
まさにそこです。さらに総アカウントのうち、今まさに市場にいるのは四半期で 5 から 7 パーセントほど。だから demand gen は、今の 5 パーセントを刈るだけでなく、残り 90 パーセント超の記憶に残ることが役割になります。
短期の案件づくりと、将来の想起づくりを同時に考えないといけないんですね。目先の CPL だけで判断すると、長期で効く施策から先に切ってしまいそうです。
Chapter 3 強いデマンドジェネレーションの作り方
強い demand gen は価値先出しです。課題記事、調査レポート、ウェビナー、ポッドキャスト、無料ツールのように、まず相手の理解を進める。そのうえで業界別、役職別、検討段階別にメッセージを変えていきます。
でも現場だと、価値提供だけだと成果が見えにくいって言われがちですよね。MQL が増えたかどうか以外に、何を見れば demand gen が効いていると判断できるんでしょうか。
見るべきは、指名検索、ダイレクト流入、複数接点後の商談化、MQA、influenced pipeline、そして受注率です。Demand gen は注意を集めるだけでなく、選ばれる確率を前倒しで上げる活動なので、下流までつないで見ます。
なるほど。需要創造と需要捕捉を同じ物差しで採点しないのが大事なんですね。ブランド想起を作る施策と、比較検討を刈り取る施策を分けて見る必要があると。
Chapter 4 SaaS 企業の具体例
HubSpot は教科書的です。需要創造の例として、ブログ、業界レポート、ポッドキャスト、ウェビナー、無料ツールを挙げています。いきなり売り込むのではなく、先に市場を賢くして、その後に自社を想起してもらう設計ですね。
たしかに HubSpot って、売り込みより先に学びの入り口として触れることが多いです。あれ自体が demand gen で、買う頃にはもう信頼残高がたまっている感じなんですね。
数字で分かりやすいのは FullStory です。以前は lead volume や AQL 数に寄っていましたが、intent data と buying stage に合わせた訴求へ変えた結果、1 四半期で net-new opportunities が 27 パーセント増えました。
量より温度ですね。たくさん集めるより、今どのアカウントが動いていて、誰に何を見せるべきかを合わせたほうが、営業につながる質が上がるわけだ。
さらに FullStory は marketing-influenced qualified pipeline も QoQ で 36 パーセント増。Bynder は intent data と G2、重要ページ閲覧をつないで outbound pipeline を 250 パーセント増やし、4 カ月で投資回収。Dremio もフォーム最適化をやめて pipeline 基準へ寄せたら、Google Ads 起点の pipeline が 90 パーセント、SQO が 115 パーセント伸びました。
面白いですね。どの会社も共通して、チャネルを増やしたというより、買い手の温度とチャネルの役割を合わせ直している。広告、営業、コンテンツが別々に動いていないのがポイントに見えます。
Chapter 5 失敗パターンと明日からの実践
よくある失敗は五つです。MQL の量だけ追う、早くゲートをかける、需要創造を CPL で裁く、営業とマーケで別のアカウントを見る、そして一つのチャネルで全部やろうとする。この五つで demand gen はだいたい弱ります。
じゃあ最初の一歩は、派手な新施策より、今ある施策を demand gen と demand capture に分けて見直すことかもしれませんね。役割が混ざっているだけで、かなり判断を誤りそうです。
その通りです。まず予算と KPI を需要創造と需要捕捉に分ける。次に buying committee ごとの ungated コンテンツを並べる。さらに営業と週次で高シグナルアカウントを共有し、月次では指名検索、MQA、influenced pipeline、受注率まで見る。デマンドジェネレーションは、案件を拾う技術ではなく、選ばれる確率を積み上げる経営装置なんです。それではまた次回。