スクリプト
Chapter 1 オープニング
今日は SaaS CS のプロダクト活用率です。Pendo のベンチマークでは、平均的な製品は全機能のうち 6.4 パーセントしかクリック量の 80 パーセントを生んでいません。機能を作っても、価値はごく一部にしか宿らないんです。
え、100 個機能があっても主役は 6 個くらいなんですか。それだと、ログイン数が増えても安心できませんね。触ってはいるけど、肝心の価値に近い機能は使われていない、みたいなことが普通に起きそうです。
その通りです。プロダクト活用率は、顧客がコア機能を継続的に業務へ組み込めているかを見る指標です。単なるログイン回数や一度きりの試用ではなく、価値行動が習慣になっているかを測るのが本質なんですね。
なるほど。『開いたか』ではなく『仕事の流れに入ったか』を見るわけですね。今日は、どこから定着と呼べるのか、それを経営がどう扱うべきかを知りたいです。
Chapter 2 活用率をどう測るか
Gainsight は、まずコア機能、aha moment、そして健全な利用頻度を先に決めるべきだと言っています。営業支援 SaaS なら、案件更新やレポート確認を週何回やると定着とみなすか、そこまで定義して初めて活用率が測れます。
ここで気になるのが activation との違いです。一回価値を体験したら採用済みなのか、それとも何回か繰り返して初めて採用なのか。この境目を曖昧にすると、社内の見方がすぐずれそうです。
そこは分けるべきです。初回価値に届いたら activation、そこから継続利用して業務に組み込まれたら adoption。さらに stickiness や breadth of adoption も見て、どの役割がどの機能を使い続けているかまで追うと、景色がかなり鮮明になります。
つまり、初回設定が終わっただけで『定着した』と言うのは早いんですね。管理者が一回触っただけなのか、現場まで含めて毎週回っているのかで、継続売上への期待値はまるで違いそうです。
Chapter 3 なぜ経営指標になるのか
活用率は CS の細かい運用指標ではありません。Gainsight の 2023 年調査では、Digital Customer Success の主用途として 67 パーセントの企業が product adoption を挙げています。つまり業界全体で、活用率を継続売上の起点として見ているわけです。
それだけ多くの会社が重視しているなら、もはや『プロダクトチームの趣味』ではないですね。受注後の売上を守るには、誰がどこまで使い込んでいるかを見ないと始まらない、という感じがします。
OpenView も、より多い product usage や retention と相関する sticky feature の採用は、拡張売上に直結しうると整理しています。つまり活用率が浅い顧客は、更新だけでなく expansion の余地も薄い。経営はここを先行指標として見るべきです。
分かります。営業から見ると既存顧客でも、実際にはまだ価値の入り口に立っただけかもしれないわけですね。活用率が浅いままアップセルを狙うと、提案より先に『そもそも今の機能も使い切れていない』と言われそうです。
Chapter 4 改善が効いた事例
Keap の事例は象徴的です。新機能の利用率が低い理由を調べると、価値不足ではなく discoverability の問題でした。未利用ユーザー向けにシンプルな guide を出したところ、ある機能では 1 週間で利用が 1000 パーセント増え、全体では feature adoption が 10 倍になりました。
面白いですね。使われない理由が『いらない』ではなく『気づかれていない』なら、CS や Product の打ち手でかなり変えられる。低活用アカウントを見た瞬間に、価値不足と決めつけるのは危ないですね。
Choozle では毎月一つの重点機能を決めて in-app guide で押し出した結果、ある機能の利用が 154 パーセント増え、その機能に紐づく四半期売上は 1,339 パーセント伸びました。Sibme でも顧客セグメント別の journeys に変えたことで user adoption が 70 パーセント増え、NRR も 21 パーセント伸びています。
ここまでくると、活用率は『親切に教える話』ではなく、収益設計そのものですね。どの機能を誰に定着させるかを決めるだけで、更新率も拡張率もかなり変わるのがよく分かります。
Chapter 5 失敗パターンと実践
失敗する会社は、ログイン数だけを追い、全機能を同じ重みで見て、activation と adoption を混同します。さらに管理者と現場を分けずに一つの数字で安心してしまう。これでは低活用の理由が、発見不足なのか価値不足なのか見えません。
ありますね。社内ダッシュボードは緑なのに、顧客現場では一番大事な機能が誰にも使われていない状態。あれは数字が悪いというより、そもそも何を数字にすべきかを間違えている感じがします。
明日からやるなら、まずセグメントごとにコア行動を 3 つ決め、初回価値到達と定着利用の閾値を分けてください。そのうえで Product、CS、RevOps が同じ活用率データを月次で見て、低活用アカウントの原因を毎回切り分ける。これが最短です。
今日は、プロダクト活用率はログイン数の延長ではなく、継続売上の先行指標だと分かりました。皆さんもまずは『何人来たか』の横に『誰がコア機能を継続利用しているか』を並べてみてください。それではまた次回。