スクリプト
Chapter 1 オープニング ― 76年連続増収の秘密
皆さんこんにちは、タカシです。今日も経営の基礎を一緒に学んでいきましょう。ミカさん、突然ですが、76年間一度も売上が前年を下回らなかった会社があるって言ったら信じますか?
こんにちは、ミカです!えっ、76年連続ですか?それはすごいですね。どこの会社なんですか?
ジョンソン・エンド・ジョンソンという会社です。世界60カ国以上でビジネスを展開している超大手なんですが、その成功の裏にはたった1枚の文書があったんです。それが今日のテーマ「バリュー」に深く関わっています。
たった1枚の文書で76年も!今日はその「バリュー」について詳しく教えてもらえるんですね。楽しみです。
Chapter 2 バリューとは何か ― 組織の行動基準を言語化する
まず基本からいきましょう。経営の世界では「ミッション・ビジョン・バリュー」、略してMVVという言葉をよく聞きます。ミッションは「なぜやるのか」、ビジョンは「どこを目指すのか」。そしてバリューは「どうやるのか」を示すものなんです。
なるほど。ミッションとビジョンは前回までに学びましたけど、バリューは「どうやるか」なんですね。もう少し具体的に言うと、どういうことですか?
簡単に言うと、「この組織で働く人は、どう考え、どう行動すべきか」を言葉にしたものです。例えば「お客様の声を最優先にする」とか「失敗を恐れず挑戦する」とか。日々の仕事で迷ったときに立ち返る、判断の拠り所ですね。
あぁ、会社のルールとはちょっと違うんですね。ルールは「やってはいけないこと」を決めるけど、バリューは「こう行動しよう」という前向きな指針ということですか?
まさにそうです、いい整理ですね。バリューが重要な理由は大きく3つあって、まず判断に迷ったときの拠り所になる。次に、全員が同じ基準を持つことで組織の一体感が生まれる。そして採用や評価のときに「スキルだけじゃなく価値観が合うか」を判断できるようになるんです。
たしかに、スキルが高くても会社の考え方と合わない人が入ってくると、チームがギクシャクしますもんね。バリューがあれば、そこの基準が明確になるわけだ。
Chapter 3 実際の企業事例 ― J&Jとメルカリに学ぶ
ここからは実際の企業事例を見ていきましょう。先ほどお話ししたジョンソン・エンド・ジョンソンですが、1943年に当時の社長が「我が信条」というクレドを作りました。顧客、社員、地域社会、株主という順番で責任の優先順位を明文化したんです。
えっ、株主が最後なんですか?普通は株主が一番大事って考えそうですけど。
そこが面白いところなんです。顧客を第一にすることで長期的には株主にも利益が還る、という考え方ですね。1982年にタイレノールという薬に毒物が混入される事件が起きたとき、会社は1億ドル以上の損失を出してでも全製品を自主回収しました。
1億ドル以上!それは...なんというか...普通の判断じゃないですよね。でもクレドに「顧客が最優先」と書いてあったから迷わず決断できたということですか?
その通りです。バリューがあったからこそ、危機のときに迷わず判断できた。結果として消費者の信頼を守り、ブランドは回復どころかさらに強くなった。これがバリュー経営の力ですね。
すごい説得力のある事例ですね。日本の企業ではどうですか?
日本だとメルカリが良い例です。「Go Bold、大胆にやろう」「All for One、全ては成功のために」「Be a Pro、プロフェッショナルであれ」という3つのバリューを掲げています。採用面接でもバリューへの共感度を重視していて、急成長期にも組織の方向性がぶれなかったと言われています。
「Go Bold」って短くてわかりやすいですよね。「大胆にやろう」って言われたら、新しいことに挑戦しやすくなりそう。バリューの言葉選びも大事なんですね。
Chapter 4 よくある失敗パターン ― バリューの形骸化を防ぐ
ここが経営の面白いところなんですが、バリューを作っただけでは意味がないんです。実は多くの企業が「バリューの形骸化」という壁にぶつかります。よくある失敗パターンをいくつか紹介しますね。
形骸化って、つまり飾りになっちゃうってことですよね。具体的にはどういう状態ですか?
典型的なのは「壁に飾るだけのバリュー」です。立派な額縁に入れてオフィスに掲げるんですが、人事評価には全く反映されない。「顧客第一」と書いてあるのに、評価基準は売上の数字だけ。これだと社員は本気にしませんよね。
あぁ、それは辛いですね。言ってることとやってることが違う、みたいな。社員からしたら「結局売上でしょ」ってなりますよね。
そうなんです。もう一つ多いのが「抽象的すぎるバリュー」。「挑戦」「誠実」「イノベーション」って、どの会社でも使えちゃう言葉ですよね。社員からすると「で、明日から何すればいいの?」となってしまう。
たしかに。メルカリの「Go Bold」みたいに、もっと具体的な行動がイメージできる言葉のほうがいいんですね。
その通り。そしてこれが一番痛いんですが、経営者自身がバリューと矛盾する行動を取るケース。「オープンなコミュニケーション」と掲げながら、経営者が情報を独占していたら、社員は一瞬で矛盾を見抜きます。バリューは経営者が最も体現しなければならないんです。
うんうん、リーダーが率先しないと誰もついてこないですよね。毎朝みんなで唱和するような方法だけじゃダメってことですか?
まさにそこで、毎朝の理念唱和は暗記には役立つかもしれませんが、心からの浸透にはつながりにくい。むしろ機械的に繰り返すだけだと、社員の心が離れてしまうこともあるんです。大切なのは日常の意思決定の中でバリューを使うことですね。
Chapter 5 クロージング ― 明日から始められるアクション
さて、今日のまとめです。バリューとは組織の行動指針であり、ミッション・ビジョンを実現するための「どうやるか」を示すものでした。作るだけでなく、評価に組み込み、経営者自身が体現することが大切です。
J&Jの1億ドルの自主回収の話は本当に印象的でした。危機のときにこそバリューが力を発揮するんですね。
リスナーの皆さんにすぐ始められるアクションをお伝えします。まず、自分のチームや会社で暗黙的に大切にしていることを3つ書き出してみてください。次に、それが日々の意思決定に本当に反映されているか振り返ってみる。この2ステップだけで、バリューの第一歩が踏み出せます。
3つに絞るのがポイントなんですよね。たくさんあっても覚えられないですもんね。皆さんもぜひ試してみてください!
それでは今日はここまでです。次回もまた経営の基礎を一緒に学んでいきましょう。ありがとうございました!
ありがとうございました!また次回お会いしましょう!