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Episode 32

成長戦略 - 事業をどの方向に伸ばすかを決める技術

13分 5チャプター 日本語
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Chapter 1

オープニング - 90%の企業が戦略実行に失敗する現実

タカシ

皆さんこんにちは、タカシです。今回のテーマは「成長戦略」。事業をどの方向に伸ばすか、その判断の技術についてお話しします。いきなりですが、ミカさん、ある衝撃的なデータがあるんですよ。

ミカ

こんにちは、ミカです!衝撃的なデータ?なんですか、気になります!

タカシ

実は、90%以上の企業が立てた成長戦略の実行に失敗しているんです。ハーバード・ビジネス・スクールの調査でも指摘されていて、戦略を立てること自体は多くの経営者がやるんですが、ちゃんと実行できている企業はほんの一握りなんですね。

ミカ

えっ、90%以上!?それはかなりの数字ですね。じゃあ、うまくいく企業とそうでない企業の違いって何なんでしょう?

タカシ

そこが今回のポイントです。闇雲に「売上を伸ばそう」ではなく、「どの方向に、どう伸ばすか」を体系的に考えるフレームワークがあるんです。今日はそれを実際の企業事例と一緒に見ていきましょう。

Chapter 2

アンゾフの成長マトリクス - 4つの成長の方向性

タカシ

成長戦略を考えるとき、最も有名なフレームワークが「アンゾフの成長マトリクス」です。1957年に経営学者イゴール・アンゾフが提唱したもので、約70年経った今でも世界中で使われています。

ミカ

アンゾフの成長マトリクス?名前は聞いたことがありますけど、具体的にはどういうものなんですか?

タカシ

シンプルな2x2のマトリクスなんです。縦軸に「市場」、横軸に「製品」を取って、それぞれ「既存」と「新規」に分けます。すると4つの象限ができますよね。この4つがそのまま成長戦略の4つの方向性になるんです。

ミカ

なるほど、2x2で4つ!具体的にはどんな戦略になるんですか?

タカシ

まず左上が「市場浸透戦略」。既存の製品を既存の市場でもっと売る。これが一番リスクが低い。次に右上が「新製品開発戦略」で、既存の顧客に新しい製品を出す。左下が「新市場開拓戦略」で、今の製品を新しい市場に持っていく。

ミカ

あ、じゃあ右下が残りますね。それが一番リスクが高いやつですか?

タカシ

その通り!右下が「多角化戦略」で、新しい製品を新しい市場に出す。製品の知見も市場の知見もない状態で挑むわけですから、当然リスクは一番高い。ここが経営の面白いところなんですが、リスクとリターンは表裏一体なんですね。

ミカ

確かに。でも実際の経営では、いきなり多角化に飛びつく人もいそうですよね。「新しいことをやりたい!」って気持ちが先走って。

タカシ

まさにそこが落とし穴なんです。定石としては、まず市場浸透で足場を固めてから、段階的にリスクの高い戦略に移行するのがセオリーです。いきなり多角化に走ると、既存事業もおろそかになって共倒れするケースが少なくありません。

Chapter 3

成功事例に学ぶ - キッコーマン・カルビー・スズキ

タカシ

ここからは実際の企業事例を見ていきましょう。まずはキッコーマンです。日本の醤油メーカーが、なんと今や売上の80%以上を海外事業が占めているんですよ。

ミカ

へえ〜!キッコーマンって海外の方が売上大きいんですか?醤油って日本のものなのに、すごいですね!どうやってそんなに広げたんですか?

タカシ

これがまさに「新市場開拓戦略」の好例なんです。キッコーマンは海外で、いきなり「和食に使ってください」とは言わなかった。代わりに、現地の肉料理に醤油を使う方法を地道に提案し続けたんですね。結果、年平均6%の成長を実現しました。

ミカ

なるほど!既存の製品を持っていくだけじゃなくて、現地の食文化に合わせた使い方を提案したんですね。それが鍵だったと。

タカシ

もう一つ面白い事例がカルビーの「フルグラ」です。グラノーラって元々「忙しいときに仕方なく食べるもの」という認識だったんですが、カルビーはこれを「朝食として積極的に選ぶもの」に再定義したんです。

ミカ

あ、それ分かります!昔はシリアルコーナーにあったのが、今は朝食コーナーに置いてありますもんね。市場そのものを変えちゃったんですか?

タカシ

そうなんです。シリアル市場から朝食市場へ。戦う土俵を変えたことで、競合も変わり、顧客の見え方も変わった。製品自体は大きく変えていないのに、市場の定義を変えることで成長を実現した見事な例です。

ミカ

製品を変えなくても、見せ方や市場の捉え方を変えるだけで成長できるんですね。これは中小企業でも使えそう!

タカシ

最後にスズキの事例も紹介させてください。スズキは「軽自動車」と「インド市場」に経営資源を集中させました。1982年に他社に先駆けてインドに進出し、誰よりも深くコミットした結果、国内四輪車保有台数でホンダを抜いて第2位になったんです。

ミカ

スズキがホンダを抜いたんですか!?「選択と集中」の力ってすごいですね。全部やろうとするんじゃなくて、ここだと決めて徹底的にやることが大事なんですね。

Chapter 4

よくある失敗パターンと避け方

タカシ

さて、ここからは逆に失敗パターンも見ておきましょう。よくある失敗の第一位は「速すぎる拡大」です。戦略も資金も人材の準備も追いつかないまま拡大して、組織が崩壊するケースですね。

ミカ

うーん、でも勢いがあるときって「今がチャンスだ!」って思ってアクセル踏みたくなりますよね。それがダメなんですか?

タカシ

勢いは大事なんですが、スピードが戦略を追い越してしまうと危険なんです。有名な例として、アメリカの大手小売チェーンのターゲットがカナダに進出して大失敗したケースがあります。現地の顧客ニーズを十分に把握せずに一気に展開した結果、全店舗を撤退する羽目になりました。

ミカ

全店舗撤退!?それは痛すぎますね...。大企業でもそういう失敗をするんだ。

タカシ

もう一つ気をつけたいのが「全方位展開」です。あれもこれもと手を出して、経営資源が分散する。さっきのスズキの逆ですね。何にでも手を出すと、結局どの分野でも中途半端になって、どこでも勝てなくなる。

ミカ

「選択と集中」の反対ですね。全部やろうとして全部ダメになるパターン。あと、一つの営業チャネルに頼りすぎるのも危ないって聞いたことがあります。

タカシ

おっしゃる通りです。トップ営業一人に売上の大半を依存していたり、一つの広告チャネルだけに頼っていたりすると、そこが途絶えた瞬間に売上が激減します。成長の仕組みは、特定の個人やチャネルに依存しない形で設計することが大切です。

Chapter 5

クロージング - 明日からできるアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションをまとめましょう。まず一つ目、アンゾフのマトリクスに自社を当てはめて、今どの象限にいるかを確認してみてください。現在地が分かれば、次の一手が見えてきます。

ミカ

紙に2x2のマスを書いて、自社の事業を当てはめるだけでも見えてくるものがありそうですよね!

タカシ

二つ目は、新しい挑戦をするときは必ず小さく試すこと。MVP、つまり最小限の製品やサービスでまず仮説検証する。そして三つ目、撤退基準を先に決めておくこと。「ここまでやってダメなら撤退する」というラインがあるだけで、判断がぶれなくなります。

ミカ

撤退基準を先に決めるって、なかなかできないけど大事ですよね。感情に流されずに判断できる仕組みを自分で作っておくってことですね。

タカシ

まさにそうです。成長戦略は、がむしゃらに拡大することではなく、どこに集中するかを決める技術です。皆さんもぜひ今日の内容を、自社の事業に当てはめて考えてみてください。

ミカ

今回もとても勉強になりました!成長戦略って闇雲に突っ走ることじゃなくて、方向を見極める技術なんですね。それでは皆さん、また次回お会いしましょう。ありがとうございました!

タカシ

ありがとうございました!