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Chapter 1 オープニング ── 黒字なのに倒産?
みなさんこんにちは、タカシです。今日のテーマはP/L、つまり損益計算書です。経営者が最初に読めるようになるべき決算書なんですが、実はこれだけを見て判断すると大変なことになるんですよ。
こんにちは、ミカです。P/Lってよく聞きますけど、正直ちゃんと読めてるかって言われると自信がないです。今日はしっかり学びたいですね。
いきなり驚きの事実をお伝えすると、日本で倒産する企業の約半数は、実は帳簿上は黒字なんです。つまりP/Lでは利益が出ているのに潰れてしまう。これを黒字倒産と言います。
えっ、半分も!?利益が出てるのに倒産するって、どういうことですか?P/Lで黒字ならOKじゃないんですか?
そこが今日の一番大事なポイントなんです。P/Lは経営に欠かせないツールですが、それだけでは見えないものがある。今日はP/Lの基本から、その落とし穴まで一緒に見ていきましょう。
Chapter 2 P/Lの基本構造 ── 5つの利益を理解する
まずP/Lの基本構造から説明しますね。P/LはProfit and Loss Statement、つまり損益計算書の略です。一定期間、たとえば1年間で会社がいくら稼いで、いくら使って、いくら残ったかを示す書類です。
なるほど、家計簿みたいなものですか?収入と支出と残りがわかるっていう。
そうですね、考え方は近いです。ただP/Lの面白いところは、費用を段階的に引いていくことで5つの利益が出てくるんです。まず売上高から売上原価を引くと売上総利益、いわゆる粗利が出ます。
粗利ってよく聞きますね。売上から仕入れ値を引いたものってことですよね。
その通りです。次にその粗利から家賃や人件費、広告費などの販売費及び一般管理費、いわゆる販管費を引くと営業利益になります。これが本業で稼ぐ力を表す数字で、経営者が一番注目すべき利益です。
営業利益が本業の実力ってことですね。じゃあ残りの3つはどんな利益なんですか?
営業利益に借入金の利息や投資収益などの営業外損益を足し引きすると経常利益。さらに土地売却などの一時的な特別損益を加味すると税引前当期純利益。最後に法人税を引いて当期純利益です。
へえ〜、5段階もあるんですね。全部覚えなきゃダメですか?
まずは粗利と営業利益、この2つだけでも十分です。特に営業利益率、つまり売上に対する営業利益の割合を毎月チェックする習慣をつけると、事業の健康状態がすぐにわかるようになりますよ。
Chapter 3 実務で使うP/L ── 飲食店の具体例
ここからは具体例で見てみましょう。たとえば月の売上が500万円の飲食店があるとします。食材の仕入れが200万円なので、粗利は300万円、粗利率は60%ですね。
粗利率60%って、飲食店としてはどうなんですか?高いほうですか?
飲食店なら一般的な水準ですね。ここから家賃、人件費、光熱費などの販管費が月250万円かかるとすると、営業利益は50万円。売上500万に対して営業利益率は10%になります。
500万も売り上げて手元に残るのが50万ですか。意外と少ないですね。
そうなんです。さらに怖いのが、もし食材費が10%上がって220万円になったら、粗利は280万円に下がって営業利益はたった30万円。原価率のほんの数パーセントの変動で、利益が4割も吹き飛ぶわけです。
4割も!それは怖いですね。売上は同じなのに原価が少し上がっただけでそんなに影響があるなんて。P/Lを見てないと気づけないですよね。
まさにそこがP/Lの価値なんです。売上だけ見てると全然気づけない。粗利率の推移を毎月追っていれば、原価の異変にいち早く対処できるんですよ。
Chapter 4 P/Lの落とし穴 ── よくある失敗パターン
さて、ここからがP/Lの落とし穴の話です。よくある失敗パターンとして、まず一番多いのが売上至上主義。トップラインの売上ばかりを追いかけて、利益率の低い仕事を大量に受けてしまうケースです。
あー、それわかります。忙しいのに全然儲かってないっていう会社、ありますよね。売上は伸びてるのにっていう。
そうなんです。次が固定費の増加を軽視するパターン。売上が好調な時期にオフィスを拡張したり、どんどん採用したりして固定費を上げてしまう。すると損益分岐点が上がって、売上が少し下がっただけで赤字に転落します。
損益分岐点ってつまり、黒字と赤字の境目ですよね?固定費が上がるとその境目も上がるってことですか。
その通りです。固定費が月200万なら200万以上の粗利で黒字ですが、固定費が300万に上がると300万稼がないと赤字。売上が下がった時に固定費はすぐには減らせないのが厄介なんです。
人件費とか家賃は簡単に減らせないですもんね。それともう一つ、さっきの黒字倒産の話がすごく気になっていて。P/Lで利益が出てるのになぜ倒産するんですか?
P/Lは発生主義といって、実際にお金が動いたタイミングではなく、取引が成立したタイミングで記録されるんです。たとえば商品を納品したら売上として計上しますが、実際の入金は2〜3か月後。一方で仕入れの支払いは翌月。
つまり帳簿の上では儲かっているように見えるけど、実際には入金より先に支払いが来てしまうから現金が足りなくなる、ということですね。
完璧な理解です。だからこそP/Lだけでなく、キャッシュフロー計算書もセットで見ることが大事なんです。P/Lの利益はあくまで計算上の数字。現金の裏付けがあるかどうかは別の話なんですよ。
Chapter 5 クロージング ── 明日からできるアクション
最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションをまとめましょう。まず第一に、月次でP/Lを確認する習慣をつけてください。年に1回の決算だけでは遅すぎます。
毎月見るのが大事なんですね。数字の変化を追っていれば異変に早く気づけると。
そうです。第二に、粗利率・営業利益率・経常利益率の3つの比率を毎月追跡してください。絶対額よりも比率のトレンドを見ることで、事業の構造的な変化に気づけます。
比率で見るのがポイントなんですね。あと、P/Lだけじゃなくてキャッシュフローもセットで見る、これは今日一番の学びでした。
その通りですね。第三に、予算を立てて実績と比較する予実管理を始めてみてください。計画との差がどこで生まれているかを毎月分析するだけで、経営の精度がぐっと上がりますよ。
P/Lって最初はとっつきにくいイメージでしたけど、今日の話を聞いて身近に感じられるようになりました。皆さんもぜひ自分の会社のP/Lを開いてみてくださいね。
はい、P/Lは経営者にとっての健康診断書のようなものです。毎月チェックして、事業の変化を見逃さないようにしましょう。それでは今日はここまで。また次回お会いしましょう。
ありがとうございました。次回もお楽しみに!