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Chapter 1 オープニング ― 売上ゼロでも請求書は届く
皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャスト、今回はエピソード39です。今日のテーマは「固定費」。経営者なら絶対に避けて通れない、でも意外と見落としがちなテーマです。
固定費!家賃とか人件費のことですよね。なんとなくわかるけど、経営でそんなに大事なんですか?
それがですね、驚くべき数字があって。2024年の日本の企業倒産件数は1万件を超えたんですが、その中で人件費や物価の高騰、つまり固定費の上昇が原因の倒産が急増しているんです。
えっ、1万件以上!それは衝撃的ですね。固定費が原因で会社が潰れるって、具体的にどういうことなんでしょう?
簡単に言うと、売上がゼロでも毎月必ず出ていくお金、これが固定費です。お店を1日も開けなくても家賃はかかるし、従業員の給与も払わなきゃいけない。この固定費をどう管理するかが、経営の安定に直結するんです。今日はその全体像を一緒に見ていきましょう。
Chapter 2 固定費と変動費 ― 費用を二つに分けて考える基本
そもそもなんですけど、固定費と変動費ってどう違うんですか?経営の世界ではよく聞く言葉だけど、ちゃんと区別できていない人も多そうですよね。
いい質問ですね。固定費は売上がいくらであっても変わらない費用。変動費は売上に連動して増減する費用です。たとえば飲食店で考えると、家賃や正社員の給与は固定費。食材の仕入れ代は変動費ですね。
なるほど。お客さんが来ても来なくても、家賃と給料は毎月同じ金額がかかるわけですね。それはたしかにプレッシャーだ。
そうなんです。具体的にどんなものが固定費かというと、家賃やオフィス賃料、正社員の人件費と社会保険料、リース料、保険料、月額固定のソフトウェアライセンスなど。これらは売上がゼロでも請求されるものです。
ソフトウェアのライセンスも固定費なんですね。最近はSaaSのサブスクが増えて、気づかないうちに固定費が膨らんでいそう。
まさにその通りで、実はここが経営のポイントなんですが、費用を固定費と変動費に分けて考えることができないと、損益分岐点の計算も利益のシミュレーションもできない。経営判断の土台になる分類なんです。
損益分岐点って、売上と費用がちょうどトントンになるラインですよね。固定費が高いと、このラインも上がっちゃうってことですか?
その通りです。固定費が月100万円の会社と月300万円の会社では、黒字にするために必要な売上がまったく違う。固定費が高ければ高いほど、利益を出すまでのハードルが上がるんですね。
Chapter 3 実務の現場 ― スタートアップと製造業の固定費戦略
じゃあ実際のビジネスの現場では、固定費ってどう管理されているんですか?業種によっても違いがありそうですよね。
面白いところに目をつけましたね。まずスタートアップの場合、創業初期は月間固定費を30万から80万円程度に抑えるのがセオリーと言われています。コワーキングスペースで家賃を抑えて、正社員ではなく業務委託を活用する。
へえ、30万から80万円。たしかに最初から立派なオフィスを借りるより、身軽にしておいたほうが安全ですよね。
そうなんです。固定費を低く抑えることで、ランウェイ、つまり資金が尽きるまでの期間を長く保てる。売上がまだ安定していない時期には、これが生き残りの鍵になります。ソフトウェアも年間ライセンスではなく従量課金型を選ぶのがコツですね。
なるほど、固定費を変動費に置き換えるっていう発想ですね。それはスタートアップに限らず使えそう。じゃあ製造業みたいな大きな会社はどうなんですか?
製造業は固定費比率が高い業種の典型なんですよ。工場の設備投資や人件費がどうしても大きくなる。好況期には生産量が増えて1個あたりのコストが下がるから、ものすごく儲かる。でも不況期には同じ固定費がのしかかって赤字になりやすい。
それって、ハイリスク・ハイリターンな構造ってことですか。景気がいいときはドンと儲かるけど、悪くなると一気に苦しくなる。
まさにそうです。だからこそ製造業の経営者は、好況期に利益をしっかり内部留保して、不況期に耐えられる体力を蓄えておく必要がある。固定費が高い業種ほど、景気変動への備えが重要になるんです。
Chapter 4 よくある失敗 ― 固定費の罠にハマるパターン
固定費の管理が大事なのはわかったんですけど、実際によくある失敗パターンってどんなものがありますか?事前に知っておけば避けられそうですし。
よくある失敗の典型は、売上が好調なときに固定費を一気に増やしてしまうこと。オフィスを拡大して、人を大量に採用する。ところが売上が落ちたとき、固定費はすぐには下げられない。ここで資金繰りが一気に悪化するんです。
うわぁ、それは怖いですね。売上が伸びてると、つい調子に乗って投資しちゃいそう。でも固定費は一度上げたら下げにくいってことですか。
そうなんです。ある税理士さんの言葉を借りると、「固定費は無意識に増加し、意識しないと決して減らない」。これは経営の鉄則なんですよ。人を一度雇ったら簡単には解雇できないし、オフィスの契約も年単位が多い。
なるほど。じゃあ、固定費を削ればいいかというと、それも単純じゃないんでしょうね?
その通り。二つ目の失敗パターンは、固定費と変動費を区別せずにコスト削減すること。たとえば広告費を削ると集客が減って売上も落ちる。でも家賃の見直しなら売上にはあまり影響しない。まず固定費から見直すのが原則です。
たしかに。やみくもにコスト削減するんじゃなくて、どの費用を削るかが大事なんですね。
そして三つ目が、逆に固定費を削りすぎてしまうパターン。人件費を削りすぎて優秀な人材が流出したり、必要な設備投資を怠って品質が低下したり。「必要なもの」と「無駄なもの」の見極めが経営者の腕の見せどころなんです。
Chapter 5 クロージング ― 明日からできるアクション
今日はたくさん学びがありました。最後に、リスナーの皆さんが明日からすぐに実践できるアクションをまとめてもらえますか?
はい。まず第一に、自社の固定費を全部リストアップしてください。毎月最低いくら必要か、数字で答えられる状態にすること。これが経営の出発点です。
まずは現状把握ですね。意外と全体像を把握できていない人も多そう。
第二に、損益分岐点を計算しましょう。固定費÷(1マイナス変動費率)で算出できます。この売上を下回ると赤字になる。ここのラインを把握しているかどうかで、経営判断の質が変わります。
損益分岐点、これは経営者なら絶対知っておくべき数字ですね。
そして第三に、固定費の変動費化を検討してみてください。正社員を業務委託に、自社オフィスをコワーキングに、年間ライセンスを従量課金に。置き換えられるものがないか、四半期ごとに見直す習慣をつけると良いですね。
固定費は無意識に増えるから、定期的に見直すっていうのが大事なんですね。今日のお話、すごく勉強になりました。
固定費を制する者が経営を制す、ぜひ覚えておいてください。皆さんも自分の事業の固定費を見直すところから始めてみてくださいね。それでは、また次回お会いしましょう。
ありがとうございました。また次回もお楽しみに!