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Chapter 1 オープニング ── 利益が出ているのに会社が潰れる?
みなさんこんにちは、タカシです。今日のテーマは資金繰り。経営をやる上で、これを知らないと本当に命取りになるテーマなんです。いきなりですが、ミカさんに質問です。利益が出ている会社って潰れると思いますか?
こんにちは、ミカです。えっ、利益が出てるなら大丈夫じゃないですか?黒字ってことは儲かってるんですよね。潰れるわけないと思いますけど。
実はですね、倒産した企業の約4割から5割は、帳簿上は黒字だったんです。つまり利益が出ているのに潰れている。これを黒字倒産と言うんですが、その原因こそが今日のテーマ、資金繰りの問題なんですよ。
4割から5割も!?それはすごい数字ですね。利益が出てるのに潰れるって、一体なにが起きてるんですか?
簡単に言うと、帳簿の上では儲かっていても手元に現金がなくなってしまう、ということなんです。会社は利益で生き延びるんじゃなくて、現金で生き延びるんですね。今日はこの資金繰りの仕組みから具体例、失敗パターンまで一緒に見ていきましょう。
Chapter 2 資金繰りの基本 ── 利益と現金はなぜズレるのか
まず資金繰りの基本からお話しします。資金繰りとは、会社の収入と支出のタイミングを管理して、手元のお金が足りなくならないようにすることです。ここで大事なのが、利益と現金は別物だということなんです。
利益と現金が別物って、どういうことですか?売上が入ってきたらそれがそのまま利益じゃないんですか?
いい質問ですね。たとえば、今月100万円の商品を納品したとします。帳簿上はすぐに売上100万円として記録されます。でも実際にお金が振り込まれるのは、取引先との契約で2ヶ月後だったりするんです。これが発生主義という会計のルールです。
あっ、なるほど。帳簿では売れたことになってるけど、実際のお金はまだ手元に来てないってことですね。その間にも支払いはあるわけですよね。
その通りです。従業員の給料や家賃、仕入先への支払いは毎月やってきます。入金が2ヶ月後でも、支払いは今月来るわけです。この入金と支払いのタイムラグが資金繰りの問題を引き起こすんですよ。
つまり売上はあるのに、手元にお金がない状態が生まれるんですね。それって特に危険な場面とかあるんですか?
実は、意外なことに一番危険なのは会社が急成長している時なんです。売上が急に伸びると、その分だけ入金を待つ金額もどんどん大きくなる。でも支払いは先にどんどん発生する。成長すればするほど資金が足りなくなるという、ちょっと矛盾した状況が生まれるんですよ。
えっ、成長してるのに危険なんですか?売上が伸びてるのはいいことなのに、それが逆にリスクになるなんて、すごく怖いですね。
Chapter 3 実務の具体例 ── IT企業が成長で資金ショートする話
ここからは具体例で見てみましょう。たとえば月商500万円のIT企業があるとします。ある日、大手企業から大きな案件を受注して、売上が月1,500万円に急成長しました。社長は大喜びですよね。
月商が3倍ですもんね。売上1,500万なら、すごく順調じゃないですか。
ところが、この大手企業の支払条件が末締め翌々月末払いだったんです。つまり1月に納品しても、実際にお金が入ってくるのは3月末。最大で3ヶ月間、入金を待たなければならない。
3ヶ月も!その間、外注さんへの支払いとか人件費はどうするんですか?
そこなんです。案件が大きくなった分、エンジニアを追加で外注に出すから、外注費が月800万円に増えた。でも外注先への支払いは翌月末。人件費や家賃などの固定費も合わせると、毎月の支出は約1,200万円になります。
えっと、入金は3ヶ月後で、支払いは毎月1,200万円。しかも売上が伸びた分だけ支払いも増えてるんですよね。手元のお金でもつんですか?
もし手元に2,000万円あったとしても、2ヶ月で使い切ってしまいます。帳簿上は月の利益が300万円出ている。でも現金は毎月1,200万円ずつ出ていく。これがまさに黒字なのに資金がショートする典型的なパターンなんです。
利益が出てるのにお金が足りないって、本当に恐ろしいですね。でもこれ、事前に防ぐ方法はあるんですか?
あります。ここで登場するのが資金繰り表なんです。月単位で今後3ヶ月から6ヶ月先までの入金予定と支出予定を書き出す。すると、いつ、いくら足りなくなるかが事前にわかる。わかっていれば、銀行に融資の相談をしたり、支払条件の交渉をしたり、打てる手がたくさんあるんですよ。
Chapter 4 よくある失敗パターン ── 経営者が見落とすポイント
さて、ここからは資金繰りで経営者が陥りやすい失敗パターンを3つお話しします。まず一つ目が、P/Lだけ見て安心してしまうパターン。損益計算書で利益が出ていると、それだけで経営は順調だと思い込んでしまうんです。
さっきの話を聞いた後だと、P/Lだけ見るのがいかに危険かわかりますね。利益が出てても現金がないかもしれないわけですから。
二つ目が、売掛金の回収管理を怠るパターンです。請求書を出したら安心してしまって、ちゃんと入金されたかの確認をしていない。実はこれ、かなり多いんです。回収が遅れていたり、最悪の場合は取引先が倒産して回収不能になったりすることもあります。
あっ、それは怖いですね。売上が立っても、お金を回収できなかったら意味がないですもんね。請求書を出しただけじゃダメなんだ。
そうなんです。三つ目が、好調な時に固定費を急激に増やしてしまうパターン。売上が伸びている時にオフィスを大きくしたり、どんどん人を採用したりする。でも固定費は一度上げると簡単には下げられません。売上が少し落ちた途端に、資金繰りが一気に苦しくなります。
確かに、人を雇ったらすぐには辞めてもらえないし、オフィスの契約も途中解約は難しいですよね。調子がいい時こそ慎重にならないといけないんですね。
まさにその通りです。固定費を増やす判断をするときは、最悪のシナリオ、つまり売上が2割3割落ちた場合でも資金が回るかどうかをシミュレーションしてからにすべきなんです。これも資金繰り表があれば事前にチェックできます。
Chapter 5 クロージング ── 明日から始める資金繰り管理
最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションをまとめましょう。まず第一に、毎月の現金残高を必ず確認してください。銀行口座の残高が先月より増えているか減っているか、これだけでも資金繰りの傾向がわかります。
まずは現金残高の確認から。これならすぐに始められますね。
第二に、売掛金の回収サイクルを把握してください。どの取引先がいつ払ってくれるのか、支払条件を一覧にするだけで、入金の見通しが格段によくなります。入金が遅れている先がないかも毎月チェックしましょう。
取引先ごとに支払条件をまとめるんですね。それだけでも全然見え方が変わりそうです。
第三に、手元資金として最低3ヶ月分の固定費を確保してください。これがいわゆるランウェイです。万が一売上がゼロになっても3ヶ月は会社が持つ。この安全マージンがあると、冷静な経営判断ができるようになりますよ。
3ヶ月分の固定費を手元に。これは心の安定にもなりそうですね。資金繰りってとっつきにくいイメージでしたけど、今日の話を聞いて、本当に大事だということがよくわかりました。
資金繰りは会社の血液循環のようなものです。利益というカロリーをたくさん摂っていても、血液が止まれば身体は動かなくなる。皆さんもぜひ、自分の会社のお金の流れを見える化してみてください。それでは今日はここまで。また次回お会いしましょう。
ありがとうございました。資金繰り表、私も作ってみます!次回もお楽しみに。