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Chapter 1 オープニング - 予算を立てるだけでは意味がない?
皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャスト、今日もよろしくお願いします。今回のテーマは「予実管理」です。ミカさん、突然ですが、年度初めに立てた予算を期末まで一度も見直さない企業ってどのくらいあると思いますか?
えっ、どのくらいだろう...。さすがにちゃんと見てる企業が多いんじゃないですか?予算って大事なものですし。
実は、特に中小企業では予算を立てたまま放置してしまうケースがかなり多いんです。予算を作ること自体が目的になってしまって、実績との比較や分析まで手が回らない。でもこれ、ものすごくもったいないことなんですよ。
もったいない...?予算を立てただけじゃダメなんですか?そもそも予実管理って、具体的にどういうことをするんですか?
予実管理というのは、予算と実績を定期的に比較して、その差の原因を分析し、改善につなげていく経営手法のことです。いわばPDCAサイクルそのもので、計画を立てて終わりではなく、現実とのズレを早く見つけて手を打つ。今日はこの予実管理について、基礎から実践まで話していきましょう。
Chapter 2 予実管理の基本 - なぜ差異分析が重要なのか
じゃあまず基本から聞きたいんですけど、予算と実績を比べるって、具体的にどうやるんですか?売上を見ればいいんですかね?
いい質問ですね。売上だけを見るのは実は不十分なんです。予実管理の起点になるのは営業利益です。売上が予算通りでも、原価が上がっていれば利益は減っている。だから売上・原価・経費をセットで見る必要があるんですよ。
なるほど、売上だけじゃなくて利益で見るんですね。でも、予算を作るのって大変そう...。どこから手をつければいいんですか?
まずは過去の実績をベースにするのが王道です。前年同月の数字を基準にして、市場環境の変化や自社の施策を加味して調整する。ポイントは粒度ですね。全社の売上だけだと差異の原因がわからないので、商品別や部門別に分けておく。ただし細かすぎると運用が回らなくなるので、自社の規模に合った粒度を見つけることが大事です。
細かすぎてもダメ、粗すぎてもダメ。バランスが大事なんですね。それで、予算と実績を比べた後はどうするんですか?
ここが一番大事なところです。差異が出たら、まず「なぜ?」を深掘りする。表面的な原因で終わらせず、根本原因にたどり着くまで考える。たとえば「売上が予算を下回った」で終わらず、「なぜ下回ったか?→新規顧客の獲得が少なかった→なぜ?→広告のクリック率が落ちた→なぜ?→競合が同じキーワードに参入してきた」というように掘り下げるんです。
おお、なぜを繰り返すんですね!トヨタの「なぜなぜ分析」みたいだ。根本原因までたどり着けば、的確な対策が打てるということですね。
Chapter 3 実例に学ぶ - 飲食店とSaaS企業の予実管理
ここで実際の現場の事例を見てみましょう。まずは飲食店チェーンのケースです。ある飲食チェーンでは、店舗ごとに売上・食材原価・人件費の月次予実表を作っていたんですが、ある月に食材原価率が予算の32%に対して実績が38%に跳ね上がったんです。
6ポイントも上がったんですか!飲食店で原価率が6%変わるって、かなり大きいですよね?
はい、年間に換算すると数百万円の損失になりかねない差です。差異分析をしたところ、原因は2つありました。仕入れ先の値上げと、廃棄ロスの増加です。そこで仕入れ先の見直しとメニュー構成の変更を実施して、翌月には33%まで改善できたんです。
すごい、1ヶ月で改善できたんですね。でもこれ、予実管理をしていなかったら、原価率が上がっていることにすら気づかなかった可能性がありますよね?
まさにその通りです。気づかないまま半年、1年と経過して、気づいたときには大きな損失になっている。予実管理の価値は、問題を小さいうちに発見できることにあるんです。
他の業種でも同じように使えるんですか?たとえばIT企業とか。
もちろんです。たとえばSaaS企業では、月次経常収益、いわゆるMRRを予実管理の中心に据えることが多いですね。新規獲得・アップセル・解約率のそれぞれに予算を設定して、週次でトラッキングする。特に解約率が予算を上回ったら、すぐにカスタマーサクセスチームが動く。リアルタイムに近い予実管理が成長を支えているんです。
へえ〜、SaaS企業だと週次なんですか!飲食は月次、SaaSは週次。業種によって見る頻度もKPIも変わるんですね。自分のビジネスに合った管理の仕方を考えないといけないんだ。
Chapter 4 よくある失敗パターンと対策
ここで、予実管理でやってしまいがちな失敗パターンについてもお話ししておきましょう。よくある失敗を知っておくと、同じ轍を踏まずに済みますからね。
失敗パターン、気になります!どんなものがあるんですか?
まず1つ目が、予算を「希望」で作ってしまうこと。「今年は売上2倍にしたい!」みたいな、願望ベースの予算ですね。過去の実績や市場環境を無視した予算を立てると、予算と実績の乖離が大きくなりすぎて、分析自体が意味をなさなくなるんです。
あー、それはわかります。「売上2倍」って言われても、達成率50%で終わったら差異の分析もやる気なくなりそう...。
そうなんです。2つ目は、差異を「見る」だけで「動かない」パターン。予実の差を数字で確認はするんだけど、原因分析や具体的な改善アクションにつなげない。差異分析シートに「要因: 市場環境の変化」とだけ書いて終わりにしてしまう。これでは予実管理をしている意味がありません。
うわ、それは耳が痛い...。「市場環境の変化」って書いておけばなんとなく説明になった気がしちゃいますもんね。でも、それだと次に何をすればいいかわからないですよね。
その通り。大事なのは、差異から具体的なアクションと担当者と期限を決めること。そして3つ目の失敗は、エクセル管理の限界を放置すること。部門ごとにフォーマットが違うエクセルで管理していて、集計に何日もかかってしまい、分析が後回しになるケースがとても多いんです。
あー、エクセルのバージョン管理とか、誰かが行を勝手に追加しちゃうとか、あるあるですね。今はクラウドの会計ソフトとかもありますし、ツールを活用した方がいいんでしょうね。
Chapter 5 クロージング - 明日から始められる予実管理
では最後に、今日の内容をまとめましょう。予実管理で大事なのは3つ。1つ目、予算は営業利益を起点に、根拠のある数字で作ること。2つ目、月次で予算と実績を比較し、差異が出たら「なぜ?」を深掘りすること。3つ目、分析で終わらず、具体的な改善アクションにつなげること。
根拠のある予算、差異の深掘り、アクションにつなげる。シンプルだけど、この3つができている会社って意外と少ないのかもしれませんね。
リスナーの皆さんにおすすめしたいのは、まず前年同月の実績を「暫定予算」として、今月の実績と比べてみることです。完璧な予算がなくても、比較するだけで見えてくるものがあります。差異が出たら「なぜだろう?」と考えてみてください。それだけで経営の解像度がぐっと上がりますよ。
前年同月と比べるだけでいいんですね。それなら今日からでもできそうです!ぜひ皆さんも試してみてください。今日も勉強になりました。タカシさん、ありがとうございました!
ありがとうございました。予実管理は地味に見えるかもしれませんが、これができるかどうかで経営の安定度がまったく変わります。次回もまた経営の大事なテーマをお届けしますので、お楽しみに。それでは、また次回お会いしましょう!