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Chapter 1 オープニング - 黒字なのに倒産する会社がある?
皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャスト、今日もよろしくお願いします。今回のテーマは「ランウェイ」です。ミカさん、突然ですが、黒字なのに倒産する会社があるって聞いたことありますか?
えっ、黒字なのに倒産?利益が出てるのに潰れるってことですか?それってどういう状況なんですか?
実はこれ、帳簿上は利益が出ていても手元の現金がなくなって支払いができなくなるケースなんです。いわゆる「黒字倒産」ですね。そして、この手元の現金がいつ尽きるかを示す指標が、今日のテーマ「ランウェイ」なんですよ。
ランウェイ...。飛行機の滑走路みたいな名前ですね。会社のお金がなくなるまでの期間ってことですか?なんだかちょっと怖い響きです。
まさに滑走路のイメージです。飛行機が離陸するまでに滑走路が足りなかったら大変ですよね。会社も同じで、次の収益や資金調達までの猶予期間がランウェイなんです。今日はこのランウェイについて、計算方法から実務での使い方まで一緒に見ていきましょう。
Chapter 2 ランウェイとバーンレートの基本
じゃあまず基本から教えてほしいんですけど、ランウェイって具体的にどうやって計算するんですか?
計算式はとてもシンプルです。手元の資金をネットバーンレートで割るだけ。ネットバーンレートというのは、毎月の支出から毎月の収入を引いた額、つまり毎月実質的に減っていくお金の量のことです。
バーンレート...。「燃焼率」みたいな意味ですか?お金が燃えていく速度ってことですね。なんかリアルな表現。
その通りです。バーンレートには2種類あって、グロスバーンレートが月間の総支出額、ネットバーンレートが総支出から売上を引いた実質の減少額です。たとえば月の支出が500万円で売上が200万円なら、ネットバーンレートは300万円ですね。
なるほど。じゃあ手元に3,000万円あって、ネットバーンレートが300万円なら...10ヶ月ってことですか?
完璧です!ランウェイ10ヶ月ですね。一般的に18ヶ月以上あれば安全圏、12ヶ月を切ると資金調達やコスト削減を真剣に考えなきゃいけない。10ヶ月だとかなり危機感を持つべきラインです。
18ヶ月が安全圏ですか。でも創業したばかりの会社で18ヶ月分の資金を持ってるって、結構ハードル高くないですか?
鋭いですね。実際、創業直後のスタートアップで18ヶ月のランウェイを確保できている会社は少ないです。だからこそ、自分たちのランウェイを正確に把握して、いつまでに何を達成しなきゃいけないかを逆算することが重要なんです。
Chapter 3 実務での具体例 - SaaS企業と創業期のケース
ここで実際のケースで考えてみましょう。たとえばSaaS系のスタートアップがシリーズAで1億円を調達したとします。月間の固定費が600万円、売上が100万円の場合、ネットバーンレートは500万円。ランウェイは20ヶ月です。
20ヶ月あれば少し余裕がありますね。でもその間にやるべきことって相当ありますよね?
そうなんです。この20ヶ月で、プロダクトを改善して顧客を獲得して、次の資金調達に向けた実績を作らなきゃいけない。しかも次の調達には3〜6ヶ月かかるので、実質的な猶予は14〜17ヶ月くらいなんですよ。
えっ、資金調達にそんなにかかるんですか!20ヶ月あると思ったら実は14ヶ月しかない。そう考えるとぜんぜん余裕ないですね。
もう一つ別のケースも見てみましょう。自己資金500万円で始めた創業期の会社で、月の支出が80万円、売上はまだゼロ。この場合、ランウェイはわずか約6ヶ月です。半年で収益化の目処を立てるか、外部資金を確保するかの判断を迫られます。
6ヶ月...。起業って華やかなイメージがありましたけど、こうやって数字で見ると本当にシビアですね。毎月お金が減っていくのを見ながら経営するってプレッシャーがすごそう。
まさにそこがポイントで、だからこそランウェイを正確に把握していることが経営者の精神的な安定にもつながるんです。漠然と不安を感じるより、あと何ヶ月あって、何をすべきかが明確になっている方が、冷静な判断ができますからね。
Chapter 4 よくある失敗パターン
ランウェイの計算自体はシンプルだと思うんですけど、経営者がやりがちな失敗ってありますか?
よくある失敗が3つあります。まず1つ目が、楽観的すぎる売上予測でランウェイを長く見積もってしまうこと。「来月には大型案件が決まるはず」という希望的観測を前提に計算して、実際には売上が立たず資金ショートするケースですね。
あー、それはやりそう。期待値込みで計算しちゃうと、実態とズレますよね。皆さんの会社でも心当たりがあるかもしれませんが...。
2つ目は、バーンレートを固定的に考えてしまうこと。人を採用したり、オフィスを移転したりすると、バーンレートは段階的に上がっていきます。先月のバーンレートで計算したランウェイが、今月にはもう変わっている。これを見落とす経営者が意外と多いんです。
確かに、成長している会社ほど支出も増えていきますもんね。攻めの投資をしているつもりが、気づいたらランウェイが縮んでいたとか怖すぎます。
そして3つ目が、ランウェイを月次で更新しないこと。月に一度は再計算する習慣がないと、気づいたときには資金調達の準備が間に合わなくなる。さっき言ったように調達には3〜6ヶ月かかりますから、ランウェイが6ヶ月を切ってから動き出すのでは遅いんです。
毎月のルーティンにしないといけないんですね。ランウェイの管理って、健康診断みたいなものかもしれません。放っておくと気づいたときには手遅れになる。
Chapter 5 ランウェイを延ばすための実践アクション
では、ランウェイが短くなってきたときに何をすべきか、実践的なアクションを見ていきましょう。大きく分けて3つのアプローチがあります。コスト削減、売上増加、そして資金調達です。
コスト削減から始めるのが一番手っ取り早そうですけど、どこから手をつけるのがいいんですか?
まず見直すべきは固定費ですね。オフィスの賃料が大きければリモートワークを導入する、使っていないツールやサブスクリプションを解約する。ただし注意してほしいのは、成長に必要な投資まで削ってしまわないこと。コスト削減で延命しても、事業が縮小しては意味がありません。
なるほど。「延命」だけじゃなくて「成長」も考えなきゃいけないと。ランウェイを延ばすために成長のエンジンを止めたら本末転倒ですよね。
そうです。もう一つ大事なのが、最悪シナリオでもランウェイを計算しておくこと。売上がゼロになった場合、つまりグロスバーンレートで計算したランウェイも把握しておく。これが本当の「底」ですから、この数字を知っておくことで、攻めの判断にも自信が持てるようになります。
最悪の場合も計算しておくって大事ですね。楽観シナリオだけで走るのは危険だけど、最悪を知った上で攻めるのは戦略的。ぜひ自分の事業に当てはめて考えてみてほしいですね。
Chapter 6 クロージング - 明日から実践できること
では最後に今日の内容をまとめましょう。ランウェイは手元資金をネットバーンレートで割るだけのシンプルな計算ですが、経営判断のタイムリミットを示す最も重要な数字の一つです。18ヶ月以上が安全圏、12ヶ月を切ったら行動開始です。
毎月計算する習慣を作ること、楽観的に見積もらないこと、最悪シナリオも把握しておくこと。この3つは今日から実践できますね。私もさっそく自分の会社のランウェイを計算してみたくなりました。
リスナーの皆さんも、まずは今月末の手元資金と月間の支出・収入を確認するところから始めてみてください。ランウェイを知ることは、会社の健康状態を知ることと同じです。数字を味方につけて、冷静な経営判断につなげていきましょう。
今日もとても勉強になりました。ランウェイって怖い概念かと思いましたけど、知っていれば逆に安心できるものなんですね。タカシさん、ありがとうございました!
ありがとうございました。次回もまた経営の大事なテーマをお届けしますので、お楽しみに。それでは、また次回お会いしましょう!