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Episode 58

課題設定 ― 問題を「やること」に変える技術

12分 6チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング ― 問題は山ほどある、でも課題は?

タカシ

皆さんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「課題設定」。経営やマネジメントの世界で、実はこれが成果を左右する最も重要なスキルの一つなんです。

ミカ

ミカです。課題設定ですか。なんとなくわかるようで、ちゃんと説明するのは難しいテーマですね。

タカシ

そうなんです。実は「問題解決は課題設定能力が9割」と言われるほど、課題をどう設定するかで結果がまったく変わってくるんですよ。

ミカ

えっ、9割ですか?それってつまり、解決策を考えるよりも、何を課題にするかの方がずっと大事ってことですか?

タカシ

まさにそうです。間違った課題を設定してしまうと、どんなに優秀な人が頑張っても成果が出ない。今日はその課題設定の考え方と実践方法をじっくりお話ししていきます。

Chapter 2

問題と課題の違い ― 似て非なるもの

タカシ

まず最初に押さえたいのが、「問題」と「課題」の違いです。この二つ、日常会話ではほぼ同じ意味で使われますが、経営の世界では明確に区別されます。

ミカ

たしかに、普段は「問題」も「課題」も同じような感覚で使っちゃいますね。どう違うんですか?

タカシ

簡単に言うと、問題は「あるべき姿と現状のギャップ」で、客観的に観察できる事実です。一方、課題は「その問題を解決するために、具体的に取り組むと決めたこと」なんです。つまり問題は発見するもの、課題は自分で設定するものですね。

ミカ

なるほど。じゃあ例えば「売上が前年比10%落ちている」というのは問題で、それに対して何をするか決めるのが課題設定ってことですか?

タカシ

その通りです。「売上が落ちている」は問題。そこから原因を分析して、たとえば「新規顧客の獲得チャネルを3つ増やす」と決めるのが課題設定です。問題から課題への変換には、原因の特定と、どこに手を打てば効果が最大化するかという判断が必要になります。

ミカ

へえ、問題を見つけるだけじゃダメで、そこから「何をやるか」まで落とし込まないと課題にならないんですね。これ、意識してないと混同しちゃいそうです。

タカシ

ドラッカーも「われわれの事業は何か、何であるべきかを定義することが不可欠だ」と言っています。あるべき姿が定まっていなければ、問題も課題も設定しようがない。だから目標設定と課題設定はセットなんです。

Chapter 3

3つの視方 ― 視座・視野・視点

タカシ

課題設定の精度を上げるために知っておきたいフレームワークがあります。それが「視座・視野・視点」という3つの視方です。

ミカ

視座、視野、視点。なんだか似たような言葉が並んでますが、それぞれどう違うんですか?

タカシ

視座は「どの高さから見るか」です。経営者目線なのか現場目線なのかで、見える問題が変わります。視野は「どれだけ広く見ているか」。自部門だけ見るのか、会社全体、業界全体を見るのかですね。

ミカ

なるほど、高さと広さ。じゃあ視点は?

タカシ

視点は「どの切り口で見るか」です。同じ売上低下でも、顧客分析の視点で見るか、競合の視点で見るか、コスト構造の視点で見るかで、設定すべき課題がまったく違ってくる。マネージャーはこの3つを意識的に切り替えることが大切です。

ミカ

たしかに、現場にいると自分の担当領域だけに目が行きがちですよね。意識的に視座を上げたり、視野を広げたりする訓練が必要そうです。

Chapter 4

実務の具体例 ― 返品率と広告運用

タカシ

ここで実際の現場での具体例を見てみましょう。ある企業で商品の返品率が高いという問題が起きたとします。皆さんだったら、どう課題を設定しますか?

ミカ

うーん、シンプルに「返品率を下げる」じゃダメなんですか?

タカシ

実はそれだと課題設定としては不十分なんです。返品率が高い原因は何かを考えないといけない。品質不良なのか、顧客の期待と実物のギャップなのか、配送中の破損なのか。原因によって打つ手がまったく違いますよね。

ミカ

あ、たしかに。品質が悪いなら工場を改善する話だし、期待値のずれなら商品ページの見せ方の話になりますもんね。全然アクションが違う。

タカシ

そうなんです。もし原因が期待値のギャップだとわかれば、「商品説明ページの情報量を増やし、購入前の期待と実物の乖離を縮める」という課題が設定できる。これなら具体的なアクションにすぐ落とし込めますよね。

ミカ

すごくわかりやすい。広告の世界でも同じようなことってあるんですか?

タカシ

ありますね。たとえばリスティング広告でCPA、つまり顧客獲得コストが高騰しているとき、「とりあえず新しい施策をやってみよう」はNGです。入札戦略なのか、ターゲティングなのか、クリエイティブなのか、ボトルネックを特定してから課題を設定する。これが成果の出るマネージャーのやり方です。

Chapter 5

よくある失敗パターン

タカシ

さて、ここからは課題設定でよくある失敗パターンを見ていきましょう。これ、経験豊富なマネージャーでもやってしまうことがあるんです。

ミカ

えー、ベテランでもやっちゃうんですか。どんなパターンがあるんでしょう?

タカシ

まず一つ目は、問題と課題を混同するパターン。「離職率が高い」を課題として掲げてしまうケースです。これは現象であって課題ではない。「入社6ヶ月以内の1on1を週1に増やし、早期離職を防ぐ」のように行動に変換しないといけません。

ミカ

あっ、これは自分もやってしまいそう。「離職率が高い」って言われると、それ自体が課題だと思っちゃいますもんね。

タカシ

二つ目は、課題を絞り込めないパターン。問題がたくさんあると全部に手をつけたくなりますが、それだと全部中途半端に終わる。マネージャーの仕事は「やらないことを決める」ことでもあるんです。

ミカ

「やらないことを決める」って、言うのは簡単だけど実際は勇気がいりますよね。でもそこがマネージャーの腕の見せどころなんですね。

タカシ

三つ目は、原因分析を飛ばして対策に飛びつくパターンですね。「売上が落ちたから営業を増やそう」は、原因が商品力にある場合はまったく効果がない。表面的な現象にとらわれず、構造的な原因まで掘り下げることが大切です。

Chapter 6

クロージング ― 明日から使えるアクションポイント

タカシ

最後に、明日からすぐに実践できるアクションポイントをまとめましょう。まず、現状の問題を事実ベースで5つ以上書き出してみてください。感覚ではなく、データや観察事実に基づくことがポイントです。

ミカ

5つ以上ですか。意外と多いですね。でもまず書き出すことで頭が整理されそう。

タカシ

次に、各問題に対して「なぜ?」を最低3回繰り返して原因を深掘りします。そして最もインパクトが大きい課題を1つに絞る。「今週これだけは前に進める」という粒度まで落とすのがコツです。

ミカ

1つに絞るのがポイントなんですね。あれもこれもじゃなくて、今週はこれ、と決める。

タカシ

そうです。そして課題は必ず「〜を〜する」という行動文で書くこと。誰が見ても何をするかわかる形にする。これだけで課題設定の質がぐっと上がりますよ。

ミカ

今日は「課題設定」について学びました。問題と課題の違い、3つの視方、そして具体的な実践方法。すごく勉強になりました!

タカシ

課題設定は一朝一夕には身につきませんが、意識して練習すれば必ず上達します。ぜひ皆さんも明日から「これは問題?それとも課題?」と自問してみてください。それでは今日はこのへんで。ありがとうございました。

ミカ

ありがとうございました。また次回お会いしましょう!