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Episode 61

評価 ― 6割が不満を抱える人事評価、信頼される仕組みの作り方

13分 5チャプター 日本語
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Chapter 1

オープニング ― 6割が不満?評価のリアル

タカシ

こんにちは、タカシです。今日は経営の中でも特に難しいテーマ、「評価」について話していきます。ミカさん、いきなりですが、日本で働く人の何割が自分の会社の評価制度に不満を持っていると思いますか?

ミカ

えーと、不満を持っている人ですか。うーん、3割くらい?いや、もうちょっと多いかな。4割くらいですかね?

タカシ

実はですね、アデコグループの調査によると、なんと62.3%の人が不満を持っているんです。6割以上ですよ。つまり、あなたの会社の評価制度にも、半数以上の社員が何かしら不満を感じている可能性が高いということなんです。

ミカ

62%!それはすごい数字ですね。もう過半数じゃないですか。でもたしかに、私の周りでも「評価に納得いかない」って声は結構聞きますね。今日はそのあたりを深掘りしていくんですね。

タカシ

はい。今日は評価とは何か、なぜこんなに不満が多いのか、そしてどうすれば信頼される評価の仕組みを作れるのかを、実際のデータや事例をもとに一緒に考えていきましょう。

Chapter 2

評価の基本 ― 裁くのではなく成長を支援する仕組み

ミカ

そもそもなんですが、「評価」って一言で言っても、何をどう評価するのかって実はよくわかっていないんですよね。成績表みたいなものですか?

タカシ

いい質問ですね。評価って聞くと学校の成績表を思い浮かべる人が多いんですが、経営における評価はもっと広い意味を持っています。簡単に言うと、メンバーの成果と行動を、あらかじめ決めた基準に照らして判定することなんです。

ミカ

あらかじめ決めた基準、というのがポイントなんですね。じゃあその基準ってどういうものがあるんですか?

タカシ

評価には大きく3つの軸があります。1つ目は「成果評価」で、何を達成したか。売上目標をクリアしたか、プロジェクトを完了させたかといった結果を見ます。2つ目は「行動評価」で、どのように取り組んだか。チームと協力できていたか、顧客に誠実だったかといったプロセスですね。

ミカ

結果だけじゃなくてプロセスも見るんですね。3つ目はなんですか?

タカシ

3つ目は「能力評価」です。どんなスキルを発揮したか。例えば問題解決力やリーダーシップ、専門知識といったものですね。この3つを組み合わせることで、結果がたまたま良かった人と、実力で成果を出した人を区別できるようになります。

ミカ

なるほど。でもそもそも、なんでわざわざ評価する必要があるんでしょう?仕事の成果は見ていれば分かるような気もしますが。

タカシ

ここがすごく大事なんですが、評価の目的は3つあるんです。1つ目は処遇の決定、つまり給与や賞与、昇格に反映すること。2つ目は育成で、強みを伸ばし課題を明確にすること。3つ目は配置で、適材適所の人員配置に活かすことです。

ミカ

つまり評価って、人を裁くためのものじゃなくて、その人の成長を支援して組織全体を良くするための仕組みなんですね。そう考えると見方が変わりますね。

Chapter 3

なぜ失敗するのか ― 5つの落とし穴

タカシ

さて、ここからが本題なんですが、よくある失敗パターンについて話しましょう。先ほどの調査で不満の理由第1位は何だったと思いますか?実は「評価基準が不明確」で、62.8%の人がこれを挙げているんです。

ミカ

基準が不明確ということは、何をすれば高い評価がもらえるのか分からないってことですよね。それは困りますね。具体的にどういう状態なんですか?

タカシ

例えば評価シートに「積極性」とか「コミュニケーション力」とだけ書いてあって、何をどのレベルでやればAなのかBなのかが定義されていない状態です。「頑張っている」「態度が良い」といった主観的な言葉で評価してしまうと、評価する側の気分次第になってしまうんですね。

ミカ

あー、それは嫌ですね。自分は頑張ったつもりなのに、上司の感覚で低い評価になるかもしれないって思ったら、やる気なくなりそうです。

タカシ

まさにその通りです。2つ目の失敗パターンは「評価者によるばらつき」です。不満理由の第2位で45.2%。同じ仕事をしても、甘い上司の下なら高評価、厳しい上司なら低評価になる。これを評価エラーと言います。

ミカ

評価エラー?専門的な言葉ですね。具体的にはどんなものがあるんですか?

タカシ

代表的なものを3つ紹介しますね。まず「ハロー効果」。これは一つの良い印象が全体の評価を引き上げてしまうことです。例えばプレゼンが上手い人は、実際の業績に関係なく「仕事ができる人」と思われやすい。逆もしかりです。

ミカ

へえー、一つの印象に引っ張られちゃうんですね。なんか分かる気がします。あと2つは?

タカシ

2つ目は「中心化傾向」。全員を無難に真ん中の評価にしてしまうことです。差をつけるのが怖くて、結局みんな同じ評価になる。3つ目は「近時点効果」で、評価期間全体ではなく直近の印象だけで判断してしまうこと。年末に目立った人が得をして、年初に頑張った人が報われない。

ミカ

うわー、どれも心当たりがありますね。特に「直近の印象で判断」は、年に1回しか評価面談がない会社だとかなり起きそうですよね。

タカシ

その通りです。そしてこれが3つ目の失敗パターンにつながるんですが、「フィードバックなしの結果通知」ですね。評価の数字だけポンと渡されて、なぜその評価なのか理由の説明がない。これではメンバーは納得できませんし、次にどう改善すればいいかも分からない。

ミカ

たしかに、通知表をもらうだけで先生からの説明がない感じですよね。それだと成績が良くても悪くても、何を変えればいいのか分からないですもんね。

タカシ

いい例えですね。あと2つ、4つ目は「評価と処遇が連動していない」こと。高い評価をとっても給与に反映されなければ、社員は真面目にやっても意味がないと感じてしまいます。5つ目は「年に1回の評価に依存する」こと。先ほどの近時点効果もそうですが、頻度が低すぎるんです。

Chapter 4

信頼される評価の作り方 ― 5つのアクション

ミカ

失敗パターンを聞いていると、けっこう多くの会社が当てはまりそうですね。じゃあ、どうすればいい評価の仕組みが作れるんですか?

タカシ

はい、5つのアクションポイントをお伝えします。まず1つ目、「評価基準を言語化して共有する」こと。期の始めにメンバーと一緒に、何をどのレベルで達成すればどの評価になるかを文書で合意するんです。口頭ではなく、文書でというのがポイントです。

ミカ

文書にするって大事ですよね。口頭だと後から「そんなこと言ったっけ?」ってなりがちですし。具体的にはどんな感じで書くんですか?

タカシ

例えば、「新規顧客を四半期で5件獲得したらA評価、3件ならB評価」のように、数値で測れるものは具体的な数字を入れます。行動面なら「チームメンバーの相談に対して24時間以内に返答する」など、観察可能な行動で定義するのが理想ですね。

ミカ

なるほど、それなら評価される側も何を目指せばいいか明確ですね。2つ目はなんですか?

タカシ

2つ目は「評価者トレーニングを実施する」こと。先ほど紹介したハロー効果や中心化傾向などの評価エラーを学んで、模擬評価で管理職同士の目線合わせをするんです。同じ事例を評価してみて、結果が大きくばらつけば、それ自体が学びになります。

ミカ

模擬評価で目線を合わせるっていうのは面白いですね。評価する側もトレーニングが必要なんだって、あまり考えたことなかったです。

タカシ

3つ目は「期中フィードバックを習慣化する」こと。月に1回以上の1on1で、今の時点での評価イメージを率直に伝えるんです。ポイントは「期末に驚かせない」こと。評価面談で初めてネガティブな話をされるのが一番信頼を壊します。

ミカ

「期末に驚かせない」。これ、名言ですね。日頃から伝えていれば、評価結果を聞いたときに「やっぱりそうだよね」となりますもんね。

タカシ

4つ目は「評価結果の理由を必ず説明する」こと。この成果がこの基準に照らしてこの評価になった、と具体的に伝え、さらに次の期に何を改善するかも一緒に設定する。評価はゴールではなく、次のスタートラインなんです。

ミカ

評価はゴールじゃなくてスタートライン。これもいい言葉ですね。最後の5つ目は?

タカシ

5つ目は「評価プロセス自体を定期的に見直す」ことです。半年に一度くらい、この評価制度は本当に機能しているか、形骸化していないかを振り返る。制度は作って終わりではなく、使いながら改善し続けるものなんです。

Chapter 5

クロージング ― 明日からできること

ミカ

今日は評価について本当にたくさん学びましたね。特に印象的だったのは、62%もの人が不満を持っているということと、その原因のほとんどは仕組みの問題だということです。

タカシ

そうですね。評価は「人を裁く仕組み」ではなく「成長を支援する仕組み」です。基準を明確にして、日頃からフィードバックを行い、結果の理由を丁寧に説明する。これだけでチームの信頼は大きく変わります。

ミカ

リスナーの皆さんに一つだけアクションをお勧めするとしたら、何がいいですかね?

タカシ

まずは次の1on1で、メンバーに「今の評価基準って明確だと思う?」と率直に聞いてみてください。その答えが、皆さんの会社の評価制度の現在地を教えてくれるはずです。

ミカ

すごくシンプルだけど、効果ありそうですね。それでは今日はこのへんで。次回もお楽しみに。ありがとうございました!

タカシ

ありがとうございました。皆さん、ぜひ評価を「恐れるもの」から「活かすもの」に変えていきましょう。それではまた次回お会いしましょう。