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Episode 63

再発防止 ― 「気をつけます」で終わらせない仕組みづくり

12分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング:同じミスが繰り返される組織の正体

タカシ

皆さんこんにちは、タカシです。今日は経営のマネジメントシリーズから「再発防止」について話していきます。実はこれ、多くの組織で一番できていないテーマかもしれません。

ミカ

こんにちは、ミカです。再発防止って、ミスした人に「次は気をつけてね」って言うことじゃないんですか?私、前の職場でよくそう言われてましたけど。

タカシ

まさにそこなんです。驚くべきことに、トヨタ自動車では1930年代から「なぜを5回繰り返す」という手法を使って、個人のミスではなく構造の問題として再発防止に取り組んでいるんです。約90年も前からですよ。

ミカ

90年前から!それはすごいですね。つまり「気をつけます」じゃダメだってことは、もうずっと前からわかっていたってことですか。

タカシ

そうなんです。でも多くの会社では今でも「注意しましょう」で終わっている。今日はなぜそれではダメなのか、どうすれば本当の再発防止ができるのかを一緒に考えていきましょう。

Chapter 2

再発防止の基本:根本原因を掘り下げる

タカシ

再発防止の基本は、表面的な原因ではなく根本原因を特定することです。例えば「納品物にミスがあった」という問題が起きたとします。表面的に見ると「担当者の確認不足」ですよね。

ミカ

はい、普通はそこで「次からちゃんと確認してね」って言って終わりますよね。

タカシ

でもここで「なぜ確認が漏れたのか?」と掘り下げるんです。すると「チェックリストがなかった」。さらに「なぜチェックリストがなかったのか?」と聞くと「新しい業務で手順が整備されていなかった」。これが構造の問題です。

ミカ

なるほど!つまり担当者が悪いんじゃなくて、誰がやっても同じミスが起きる状態だったってことですね。

タカシ

その通りです。これがトヨタの「5回のなぜ」の考え方です。個人を責めるのではなく、仕組みの欠陥を見つける。ここがマネージャーの腕の見せどころなんです。

ミカ

でもタカシさん、実際に「なぜ?」を5回も繰り返すのって、けっこう難しくないですか?途中で答えに詰まりそうです。

タカシ

いい質問ですね。実は5回というのは目安で、大事なのは「これ以上掘り下げても対策が変わらない」というレベルまで到達することです。最低3回は繰り返すと、だいたい構造的な問題が見えてきます。

Chapter 3

実務での具体例:仕組みで防ぐとはどういうことか

タカシ

ここで実際の企業の事例を紹介しましょう。神戸製鋼所では、もともと紙の手順書とOJTで新人教育をしていたんですが、教える人によって内容にバラツキがあって、作業ミスが頻発していました。

ミカ

あ、それわかります。先輩Aさんと先輩Bさんで言うことが違うってやつですよね。どっちが正しいのか迷っちゃう。

タカシ

まさにそれです。そこで神戸製鋼所は動画マニュアルに切り替えたんです。動画なら誰が見ても同じ内容が伝わる。教育者によるバラツキがなくなり、作業ミスの再発防止につながりました。

ミカ

へえ〜、動画にするだけでそんなに変わるんですね。でもこれって製造業だけの話じゃないですか?

タカシ

いえ、考え方はどの業界でも同じです。ポイントは「誰がやっても同じ結果になる仕組み」を作ること。たとえばIT企業なら、手動でやっていた確認作業を自動テストに置き換える。営業なら、提案書のテンプレートを整備する。

ミカ

なるほど、業界は違っても「属人的なものを仕組みに変える」という発想は共通なんですね。

タカシ

そうです。トヨタの生産ラインでは、不具合が出たら即座にラインを止めて、その場で根本原因の分析と再発防止策の実装まで完結させます。そして大事なのは、対策が日常業務に織り込まれて初めて完了とみなすこと。

ミカ

ラインを止めてまでやるんですね。それくらい再発防止を重視しているということか。皆さんの会社でも、同じ問題が何度も起きていませんか?

Chapter 4

よくある失敗パターンと落とし穴

タカシ

ここが経営の面白いところなんですが、再発防止策を作ったのに、その対策自体が形骸化するという落とし穴があるんです。よくある失敗パターンを4つ紹介しますね。

ミカ

対策を作ったのに意味がなくなるって、それは悲しいですね。どんなパターンがあるんですか?

タカシ

一つ目は「気をつけます」で終わるパターン。個人の注意力に頼る対策は、人が変わったり忙しくなったりすると必ず破綻します。仕組みに落とし込まれていないものは対策とは呼べません。

ミカ

うわ、これは耳が痛いです。「気をつけます」って、一番よく聞くフレーズかもしれない。

タカシ

二つ目は、表面的な原因で止まるパターン。「Aさんがミスした」で終わると、Bさんが同じ業務をしたとき同じミスが起きます。個人ではなく構造を見ないといけない。

ミカ

三つ目と四つ目も気になります。

タカシ

三つ目は対策の形骸化。チェックリストを作っても、忙しいとスキップされる。対策が本当に運用されているか、定期的に検証することが必要です。四つ目は犯人探し。

ミカ

犯人探しって、「誰がやったんだ!」ってやつですよね。あれ、怒られるのが怖くて問題を隠すようになりませんか?

タカシ

その通りです。責める文化があると、ミスが隠蔽されて、もっと大きな問題に発展します。再発防止の目的は犯人を見つけることではなく、同じ問題が起きない仕組みを作ること。ここを絶対に間違えてはいけません。

Chapter 5

クロージング:明日からできる再発防止のアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から実践できるアクションをまとめましょう。まず、問題が起きたら「なぜ?」を最低3回繰り返してください。表面で止まらず、構造的な原因にたどり着くことが大切です。

ミカ

3回のなぜ、これなら今日からでもできそうですね。他にもありますか?

タカシ

二つ目は、対策を考えるとき「誰がやっても同じ結果になるか?」を基準にすること。チェックリスト、テンプレート、自動化、どんな形でもいいので、属人的にならない仕組みにしてください。

ミカ

「誰がやっても同じ結果になるか」っていい判断基準ですね。それを満たさない対策は対策じゃないってことか。

タカシ

三つ目は、対策を実施したら1ヶ月後に効果を検証すること。作りっぱなしではなく、本当に再発が防げているかを確認する。そして何より、失敗を共有できるチームの文化を作ることが一番大事です。

ミカ

今日のお話を聞いて、再発防止って単なるミス対策じゃなくて、組織の文化づくりなんだなって思いました。皆さんもぜひ、「気をつけます」で終わらせない仕組みづくりに挑戦してみてください。

タカシ

今日も聞いていただきありがとうございました。次回もまた経営の実践的なテーマをお届けしますので、お楽しみに。それではまた。

ミカ

ありがとうございました。また次回お会いしましょう!