← エピソード一覧に戻る
Episode 68

オンボーディング ― 新メンバーが辞めない組織のつくり方

13分 5チャプター 日本語
0:00 / 0:00

スクリプト

Chapter 1

オープニング:なぜオンボーディングが経営課題なのか

タカシ

皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャストへようこそ。ホストのタカシです。今回のテーマは「オンボーディング」。新しいメンバーが組織に馴染み、早期に戦力になるための支援プロセスについてお話しします。

ミカ

ミカです、よろしくお願いします。オンボーディングって最近よく聞くようになりましたよね。でも正直、入社研修と何が違うのかなって思うんですが。

タカシ

いい質問ですね。まず驚きの数字をお伝えしたいんですが、実は自社のオンボーディングが優れていると感じている社員は、なんとわずか12%しかいないんです。つまり約9割の会社が新メンバーの受け入れに課題を抱えているということなんですよ。

ミカ

えっ、12%ですか。それはかなり少ないですね。せっかく採用したのに、受け入れ側の準備がそんなに足りていないんですか。

タカシ

そうなんです。さらに言うと、新入社員の20%が入社からわずか45日以内に辞めてしまうというデータもあります。採用にかけたコストも時間も無駄になってしまう。だからこそオンボーディングは経営課題なんですね。

Chapter 2

オンボーディングの基本 ― 入社研修とは何が違うのか

ミカ

では改めて、オンボーディングって具体的にはどういうものなんですか?入社初日のオリエンテーションとは違うんですよね。

タカシ

はい、大きく違います。入社研修は初日から数日間の基本的なインプットですよね。会社のルール、システムの使い方、業務の流れなど。でもオンボーディングはもっと広い概念で、入社から3か月、場合によっては半年にわたる継続的なサポートなんです。

ミカ

3か月から半年ですか。それはけっこう長いですね。その間ずっとサポートし続けるってことですか?

タカシ

そうです。ポイントは3つの側面をカバーすることなんですね。1つ目は業務スキル、つまり仕事のやり方を教える。2つ目は企業文化、会社の価値観や行動規範を体感してもらう。そして3つ目が人間関係、チームや社内のネットワークを構築してもらう。この3つが揃って初めて人は定着するんです。

ミカ

なるほど。仕事だけ教えればいいってわけじゃないんですね。確かに、仕事はわかるけど居場所がないって感じたら辛いですよね。

タカシ

まさにその通りです。実は優れたオンボーディングを経験した社員の69%が3年以上その会社に留まるというデータがあります。逆にオンボーディングが不十分だった人は、早期に転職を考える確率が2倍になる。つまり、最初の数か月の体験がその後何年にも影響するんですよ。

Chapter 3

実践事例 ― 日本企業の取り組みから学ぶ

ミカ

理論はわかりました。でも実際に日本の企業ではどんなオンボーディングをやっているんですか?具体的な事例を聞きたいです。

タカシ

いくつか面白い事例がありますよ。まず「オンボーディングパートナー制度」。これはサイボウズやLINEが導入しているもので、入社後3か月間、専任のパートナーが付いて業務面だけでなく生活面の相談にも乗るんです。

ミカ

へえ、生活面の相談もですか。それはかなり手厚いですね。上司とは別にそういう存在がいると安心しそうです。

タカシ

そうなんです。上司には言いづらいことってありますよね。パートナーは評価者ではないので、気軽に本音を話せる。それがとても大事なんです。もう1つの事例はfreeeの段階的な目標設定ですね。入社1か月目、3か月目、半年後とゴールを分けて設定することで、成長を実感しやすくしている。

ミカ

段階的な目標設定、いいですね。いきなり高いハードルを課されるよりも、スモールステップで成功体験を積めそうです。

タカシ

あとは意外と効果が高いのが「社内交流ランチ」です。部署を越えた人間関係を意図的に作る場を設けるんですね。新メンバーが自部署以外にも知り合いがいると、会社への帰属意識がぐっと高まるんです。

ミカ

なるほど、ランチならハードルも低いですし、お金もそこまでかからないですよね。小さな会社でも明日から始められそうです。

Chapter 4

よくある失敗パターンと落とし穴

タカシ

ここからは、よくある失敗パターンについてお話しします。経営者の方々にはぜひ自社の状況と照らし合わせて聞いていただきたいですね。

ミカ

失敗パターン、気になります。どんなものがあるんでしょうか。

タカシ

1つ目は「放置型」ですね。いわゆる「見て覚えろ」方式です。忙しい現場だと起きがちなんですが、新入社員の70%は入社1か月以内にこの職場が自分に合うかどうかを判断しているんです。その大事な時期に放置してしまうのは致命的です。

ミカ

1か月で判断しちゃうんですか。ということは、最初の1か月が本当に勝負なんですね。

タカシ

その通りです。2つ目は「情報の洪水」パターン。初日にマニュアルを山ほど渡して、全部読んでおいてねと言ってしまう。消化不良を起こして逆に何もわからなくなるんです。情報は段階的に出すのがコツですね。

ミカ

あるあるですね。私もそういう経験があって、初日に分厚い資料を渡されて途方に暮れたことがあります。

タカシ

3つ目が「属人的な指導」。教える人によって内容もレベルもバラバラで、配属先によって育成の質が大きく変わってしまう。これは組織としてオンボーディングのプロセスを標準化することで防げます。

ミカ

標準化って大事ですね。教える側も何を伝えればいいか明確になるし、抜け漏れも防げそうです。

Chapter 5

クロージング:明日から始めるオンボーディング

タカシ

最後に、リスナーの皆さんがすぐに実践できるアクションポイントをまとめましょう。まず入社前から歓迎メッセージやチーム紹介資料を送って、初日の不安を減らすこと。これはコストゼロで始められます。

ミカ

入社前に連絡をもらえたら、確かに安心しますよね。ちょっとしたことだけど効果がありそうです。

タカシ

次に、最初の1週間、1か月、3か月の到達目標を明文化して、本人と上司で共有すること。そして専任のメンターやパートナーをアサインすること。この2つだけでもオンボーディングの質は劇的に変わります。

ミカ

目標の明文化とメンター、この2つがまず大事なんですね。今日のお話を聞いて、オンボーディングって会社の未来への投資なんだなって感じました。

タカシ

まさにそうですね。採用がゴールではなく、入社後の体験こそがその人の会社での成長を決める。ぜひ皆さんの会社でもオンボーディングを見直してみてください。

ミカ

今回も勉強になりました。リスナーの皆さん、最後まで聞いていただきありがとうございます。次回もお楽しみに。それでは、また。