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Episode 80

離職防止 ― 優秀な人材が辞めない組織のつくり方

13分 5チャプター 日本語
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Chapter 1

オープニング ― 離職のコストは想像以上

タカシ

皆さんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「離職防止」。経営者にとって、人が辞めるというのは本当に痛い問題なんですよね。実はある調査によると、管理職クラスの社員が一人辞めると、その補充にかかるコストは年収の約200%に達するそうです。

ミカ

こんにちは、ミカです。年収の200%ですか!それって年収600万円の人だったら、1200万円かかるってことですよね。採用費だけじゃなくて、引き継ぎとか、新しい人が戦力になるまでの時間も含めてですか?

タカシ

そうなんです。採用広告、面接にかける時間、教育コスト、それに前任者が抜けた穴をチームが埋める負担もある。見えないコストがとても大きいんですよね。特に今の日本は少子高齢化で労働人口が減っていますから、辞めた後に同じレベルの人を採れる保証もない。

ミカ

なるほど。採用も大事だけど、今いる人に残ってもらうことがそもそも大事なんですね。でも「辞めたい」って思ってる人を引き止めるのって、なかなか難しそう。今日はそのあたりを詳しく聞いていきたいです!

Chapter 2

離職の本当の原因 ― 給料だけじゃない

タカシ

まず大前提として知っておいてほしいのが、人が辞める理由は給料だけじゃないということです。ある研究では、有害な職場文化は報酬の10倍も離職を予測する要因になるという結果が出ています。つまり、給料を上げても、職場の空気が悪ければ人は辞めるんです。

ミカ

10倍!それはすごい数字ですね。有害な職場文化って、具体的にはどういうことを指すんですか?パワハラとかですか?

タカシ

パワハラもそうですし、意見を言っても無視される、失敗すると責められる、情報が一部の人にしか共有されない、といった状態ですね。つまり心理的安全性がない環境。Gallupの調査では、世界の従業員のうちエンゲージメントが高い人はたった21%しかいないんです。

ミカ

えっ、5人に1人しかやる気がないんですか。それは衝撃的な数字ですね。逆に言えば、ここを改善するだけでも、離職って大きく減らせる可能性があるということですよね。

タカシ

おっしゃる通りです。離職の原因を分解すると、大きく4つに整理できます。1つ目が今の「職場の人間関係・文化」。2つ目が「成長実感の欠如」。3つ目が「裁量の不足」。4つ目が「働き方の柔軟性がない」こと。報酬はもちろん大事ですが、これら4つのほうが実は影響が大きい。

ミカ

なるほど、報酬以外に4つも大きな要因があるんですね。私が経営者だったら、まず何から手をつければいいのか迷ってしまいそうです。優先順位ってあるんですか?

タカシ

まずは自社で何が起きているかを知ることが最優先です。退職面談やパルスサーベイで「なぜ辞めるのか」を定量的に把握する。意外とこれをやっていない会社が多いんですよ。辞める理由を聞かないから、同じ原因で次の人も辞めてしまう、という悪循環に陥る。

Chapter 3

成功事例に学ぶ ― サイボウズの離職率改革

タカシ

ここで具体的な成功事例を紹介しましょう。サイボウズという会社をご存知ですか?グループウェアを開発しているIT企業なんですが、かつては離職率が28%もあったんです。4人に1人以上が毎年辞めていた計算ですね。

ミカ

28%!それはかなり深刻ですね。IT業界は転職しやすいイメージがありますけど、それにしても高いですよね。そこからどうやって改善したんですか?

タカシ

サイボウズがやったのは、「働き方を社員自身が選べる制度」の導入です。短時間勤務、週3日勤務、フルリモートワークなど、一人ひとりのライフステージに合わせた選択肢を用意した。画一的な制度ではなく、個人に合わせた柔軟性を持たせたんですね。

ミカ

全員同じルールじゃなくて、自分で選べるっていうのがポイントなんですね。それで結果はどうだったんですか?

タカシ

結果、離職率は28%から4%まで下がりました。7分の1ですよ。しかもこれは一時的な効果ではなく、継続的に低い水準を維持しています。統計的にも、柔軟な勤務制度を導入した企業は定着率が25%向上するというデータがあるんです。

ミカ

28%が4%って、劇的な改善ですね!でも中小企業だと、リモートワークとか週3勤務って導入が難しい場合もありますよね。飲食業とか製造業とか。

タカシ

いい視点ですね。実は飲食業界でも成功例があるんです。鳥貴族は、離職率が高いのが当たり前と言われる外食産業で、経営理念の浸透と現場でのコミュニケーション設計によって低い離職率を維持しています。働き方の柔軟性だけが答えじゃないんですよね。

ミカ

なるほど!業種によってアプローチは違っても、社員の声を聞いて、その会社に合った施策を打つことが大事なんですね。

Chapter 4

よくある失敗パターンと落とし穴

タカシ

ここからは、離職防止でやりがちな失敗パターンについてお話ししましょう。一番多いのが「お金で引き止める」パターンです。辞めたいと言ってきた社員に慌てて昇給を提示する。これ、一時的には効果がありますが、根本原因を解決していないので、半年後にまた同じことが起きます。

ミカ

あー、それは想像できますね。人間関係が嫌で辞めたいのに、給料が上がっても根本は変わらないですもんね。他にはどんな失敗がありますか?

タカシ

2つ目がオンボーディングの軽視です。入社して最初の体験って、本当に大事なんですよ。データによると、入社2年以内の社員は長く在籍している社員に比べて、1年以内に辞める確率が38%も高い。でも良質なオンボーディングを受けた社員は、3年以上残る確率が69%高くなるんです。

ミカ

最初の印象でそんなに変わるんですね。入社初日に放置されたら、不安になりますもんね。「この会社大丈夫かな」って。

タカシ

まさにそうです。3つ目は、画一的な制度設計。全員に同じ福利厚生を押しつけて、個人のライフステージやキャリア志向を無視してしまう。20代独身と40代で子育て中の社員では、求めるものが全然違いますよね。一律の制度では、誰も満足しない状態になりかねない。

ミカ

確かに。先ほどのサイボウズの事例も、まさに「選べる」ことがポイントでしたもんね。一律じゃなくて、選択肢を用意することが大事なんですね。

Chapter 5

クロージング ― 明日から始める5つのアクション

タカシ

最後に、リスナーの皆さんが明日から始められるアクションを5つにまとめますね。1つ目、退職面談やサーベイで離職理由を定量的に把握する。まず現状を知ることが全ての出発点です。

ミカ

データで把握するんですね。感覚じゃなくて。

タカシ

2つ目、柔軟な働き方の選択肢を用意する。全社一斉じゃなくても、まずは一部のチームから試してみるのもいい。3つ目、1on1ミーティングを定期的に実施して、承認と感謝を仕組み化する。80%の従業員が「定期的な承認でロイヤルティが高まる」と回答しているんです。

ミカ

承認って、特別なことじゃなくても、ちゃんと「ありがとう」と言うだけでも効果がありそうですよね。

タカシ

その通りです。4つ目、キャリア開発への投資。社内異動制度やスキルアップ支援を整える。93%の従業員がキャリア開発に投資してくれる組織に残りたいと答えています。5つ目、オンボーディングの充実。入社最初の90日間の体験を徹底的に設計してください。

ミカ

5つのアクション、どれもすぐに取りかかれそうなものばかりですね。特にまず1つ目の「現状把握」から始めるのが良さそうです。皆さんもぜひ自分の会社に当てはめて考えてみてください!

タカシ

離職防止は、特別な施策を一つ打てば解決する問題ではありません。社員の声を聞き、データで把握し、一つずつ改善し続ける。その積み重ねが、人が辞めない強い組織をつくります。今日もお聴きいただきありがとうございました。それではまた次回お会いしましょう。

ミカ

ありがとうございました!次回もお楽しみに!