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Episode 87

傾聴 ― 聴くだけで組織が変わる、経営者の最強スキル

13分 5チャプター 日本語
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スクリプト

Chapter 1

オープニング ― 傾聴力が信頼度を6倍にする?

タカシ

皆さん、こんにちは。経営学習ポッドキャストのタカシです。今回のテーマは「傾聴」です。いきなりですが、驚きのデータを一つ。4,000人以上のリーダーを対象にした調査で、傾聴力が高いリーダーの信頼度は86パーセンタイル。一方、傾聴力が低いリーダーはたった15パーセンタイルだったんです。

ミカ

こんにちは、ミカです。えっ、15と86ってそんなに差があるんですか?聴くだけでそこまで変わるって、ちょっと信じられないんですけど。

タカシ

そうなんですよ。これはZenger Folkman社の360度フィードバックの分析結果なんですが、つまり「聴ける人」と「聴けない人」では、周囲からの信頼が天と地ほど違うということなんです。今日はこの傾聴について、基本の考え方から実務での使い方まで、しっかり掘り下げていきましょう。

ミカ

はい、ぜひお願いします!私も正直、聴くって当たり前のことだと思ってたので、何がそんなに違いを生むのか気になります。

Chapter 2

傾聴の基本 ― ロジャーズの三原則

タカシ

まず傾聴の基本からいきましょう。傾聴、英語ではActive Listeningといいますが、これはアメリカの心理学者カール・ロジャーズが提唱した概念です。ロジャーズは、カウンセリングがうまくいった事例に共通する聴き手の要素を三つにまとめました。

ミカ

心理学から来てるんですね。カウンセリングの技法が、なぜ経営にも使えるんですか?

タカシ

いい質問ですね。経営もカウンセリングも、根本は人と人のコミュニケーションだからです。では三原則を一つずつ見ていきましょう。一つ目が「共感的理解」。相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすることです。

ミカ

共感的理解。つまり、相手の靴を履いて考えるということですね。でもこれって、実際にやるのは難しそうです。自分と全然違う意見の人の話だと特に。

タカシ

その通りです。だからこそ二つ目の「無条件の肯定的関心」が大事になります。これは、相手の話を善悪や好き嫌いで評価せずに聴くこと。なぜそう考えるに至ったのか、その背景に関心を持つということです。否定も肯定もせず、まず理解しようとする。

ミカ

なるほど。「それは違うでしょ」って思っても、まずは「なぜこの人はそう考えたんだろう」と受け止めるわけですね。三つ目は何ですか?

タカシ

三つ目は「自己一致」です。聴き手自身が誠実であること。分からないことは正直に「ちょっとよく分からなかったのでもう一度教えてもらえますか」と確認する。分かったふりをしない。この三つが揃うと、相手は安心して本音を話せるようになるんです。

ミカ

共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致。この三つ、言葉にすると簡単そうですけど、全部同時にやるのはかなり意識が必要ですね。

Chapter 3

実務で効く傾聴 ― 1on1と組織の変化

タカシ

では、実際の経営現場で傾聴がどう効くのか見ていきましょう。一番身近なのは1on1ミーティングです。ある調査では、傾聴のトレーニングを受けたマネージャーのチームは、従業員満足度が30パーセント向上し、生産性も最大25パーセント改善したんです。

ミカ

30パーセントって大きいですね!でも、1on1で具体的にどうすればいいんですか?「聴きましょう」って言われても、何をすればいいのか分からない人も多いと思うんですが。

タカシ

そうですよね。ポイントは三つあります。まず、1on1の最初の5分を相手に渡すこと。自分のアジェンダを後回しにして、「最近どう?何か気になることある?」から始める。これだけで部下は「この時間は自分のためのものだ」と感じます。

ミカ

あぁ、それいいですね。上司が最初から「あの件どうなった?」って切り出すと、報告の場になっちゃいますもんね。

タカシ

まさにそうです。二つ目は、相手が話し終えたら3秒待つこと。すぐに返答しない。この間が、相手に「まだ言い足りないこと」を補足する余地を生みます。三つ目は、オウム返しと要約。「つまり〇〇ということですね」と自分の言葉で返す。

ミカ

3秒待つって、短いようで実際にやると結構長く感じそうですね。でもそれで相手が話しやすくなるなら、やる価値はありますね。

タカシ

心理学的にも、聴いてもらえていると感じると脳内でオキシトシンが分泌されて、信頼や絆の感覚が高まることが分かっています。つまり傾聴は、科学的にも信頼関係を構築するメカニズムなんです。組織の心理的安全性にも直結します。

ミカ

オキシトシンまで出るんですか!聴くだけで脳の仕組みが味方してくれるって面白いですね。逆に聴いてもらえないと、信頼が壊れるのも納得です。

Chapter 4

よくある失敗パターン ― やってはいけない聴き方

タカシ

ここからは、よくある失敗パターンについて話しましょう。実は多くの経営者やマネージャーが、聴いているつもりで聴けていないんです。一番多いのが、すぐにアドバイスしたがること。

ミカ

あー、それ分かります。相手がまだ話してる途中なのに、「それならこうすればいいよ」って言っちゃうやつですよね。

タカシ

そうなんです。経営者は問題解決が得意な人が多いので、つい解決策を出したくなる。でも相手は「解決してほしい」のではなく、「まず分かってほしい」のかもしれない。ここのズレが信頼を損なうんです。

ミカ

なるほど。他にはどんな失敗がありますか?

タカシ

二つ目は、自分の経験談で上書きしてしまうこと。部下が悩みを打ち明けたのに、「俺のときはさ...」って自分の話に持っていく。相手は「この人に話しても結局自分の話をされる」と学習して、もう相談しなくなります。

ミカ

うわ、それは耳が痛い人多そうですね。三つ目もありますか?

タカシ

三つ目は、聞いているふりをすること。うなずきながら頭の中では別のことを考えている。これ、相手には見抜かれています。目が泳いだり、反応がワンテンポずれたり。そしてもう一つ、忙しさを理由に後回しにすること。「今ちょっと無理」が続くと、部下は相談すること自体を諦めます。

ミカ

部下が相談しなくなったら、問題が水面下で大きくなって、気づいたときには手遅れってことですよね。怖いですね。

Chapter 5

クロージング ― 明日からできる傾聴の第一歩

タカシ

では最後に、明日からすぐに実践できるアクションをまとめましょう。一つ、相手が話し終えたら3秒待つ。二つ、「つまり〇〇ということですね」とオウム返しで確認する。三つ、「どう感じましたか?」のようなオープンクエスチョンで相手の思考を深める。

ミカ

どれもシンプルですけど、意識しないとなかなかできないことですよね。特に3秒待つっていうのは、明日の打ち合わせからすぐにやってみたいです。

タカシ

そうですね。傾聴は一朝一夕で身につくものではありませんが、意識して繰り返すことで必ず上達します。皆さんも、次の1on1や会議の場で、まずは一つだけでも試してみてください。聴き方を変えるだけで、相手の反応が変わることを実感できるはずです。

ミカ

今日は傾聴の三原則から実務での使い方、失敗パターンまで学べて、すごく勉強になりました。聴くって、こんなに奥が深いんですね。それでは、また次回お会いしましょう!

タカシ

ありがとうございました。皆さんの経営の旅を、これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。また次回、お会いしましょう。