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Episode 88

伝え方ひとつで組織が動く ― 経営者のコミュニケーション技術

13分 5チャプター 日本語
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Chapter 1

オープニング ― 伝え方で結果が180度変わる

タカシ

みなさんこんにちは、タカシです。今日のテーマは「伝え方」。経営において、何を伝えるかと同じくらい、どう伝えるかが成果を左右するという話をしていきます。

ミカ

こんにちは、ミカです。伝え方かあ。なんとなく大事なのはわかるんですけど、経営においてそんなに影響があるんですか?

タカシ

実はですね、ベストセラー『伝え方が9割』の佐々木圭一さんは、もともと伝えることが苦手だったんです。コピーライターとして配属されたのにうまくいかず、ストレスで1年で体重が15%も増えてしまったそうで。

ミカ

えっ、15%も!?それだけ悩んでいた人が伝え方の本を出したんですか?逆にすごいですね。

タカシ

そうなんです。佐々木さんは試行錯誤の末に、言葉は思いつくのではなく「つくる」ものだと気づいた。つまり、伝え方は才能ではなく技術なんです。今日はその技術を経営の文脈で掘り下げていきます。

Chapter 2

伝え方の基本 ― 3つのステップとPREP法

ミカ

伝え方が技術っていうのは心強いですね。じゃあ、具体的にどうやって伝え方を「つくる」んですか?

タカシ

伝え方の基本は3つのステップです。まず第一に、自分の頭の中をそのまま言葉にしないこと。これ、意外と多くの人がやってしまうんですよね。思ったことをそのまま口に出してしまう。

ミカ

あー、それ私もやりがちかも。思いついたことをパッと言っちゃう。

タカシ

第二に、相手の立場や状況を想像すること。そして第三に、相手のメリットと一致する伝え方を選ぶこと。この3ステップを踏むだけで、伝わり方が劇的に変わります。

ミカ

なるほど。相手のメリットと一致させるって、具体的にはどういうことですか?

タカシ

たとえば、残業削減をお願いするとき、「会社のコストを減らしたいから残業するな」と言うのと、「あなたの健康とプライベートの時間を大事にしてほしいから、効率的に働ける方法を一緒に考えよう」と言うのでは、受け取り方が全然違いますよね。

ミカ

確かに!同じ「残業を減らそう」でも、自分のためだと思えると前向きになれますね。

タカシ

もう一つ、ビジネスで非常に使えるのがPREP法というフレームワークです。Point、つまり結論を最初に言う。次にReason、理由。そしてExample、具体例。最後にもう一度Pointで結論を繰り返す。

ミカ

PREP法、聞いたことあります。結論ファーストってやつですね。でも実際に使いこなすのって難しくないですか?

タカシ

最初は意識的に型に当てはめるだけでいいんです。例えば上司に報告するとき、「結論として、A社への提案を来週に延期すべきです。理由は先方の担当者が異動になったためです。具体的には新しい担当者との関係構築に1週間ほど必要です。ですので、来週木曜の提案を提案します」と。

ミカ

おお、すごくわかりやすい。これなら上司もすぐ判断できますね。

Chapter 3

実務で差がつく伝え方 ― 経営者の現場から

タカシ

ここが経営の面白いところなんですが、伝え方一つで組織の動き方がまるで変わるんです。ある企業の経営者が「売上を上げろ」と繰り返し指示していたのに、現場がまったく動かなかったという事例があります。

ミカ

「売上を上げろ」って、言われてもどうしたらいいかわからないですよね。

タカシ

まさにそうなんです。そこでこの経営者は伝え方を変えました。「来月末までに既存顧客への追加提案を1社あたり2件実施してほしい。理由は新規獲得よりコストが3分の1で済むからだ」と。すると、チーム全体が即座に動き出したんです。

ミカ

へえー!何を、いつまでに、なぜっていう3点を明確にしただけで、こんなに変わるんですね。

タカシ

そうなんです。もう一つ大事なのが、一方通行にしないこと。経営者が情報を発信するだけで、現場からのフィードバックを受け取る仕組みがないと、問題が拡大してから初めて気づくことになります。

ミカ

なるほど。伝えるだけじゃなくて、聴くことも「伝え方」の一部なんですね。

タカシ

いい視点ですね。フロンティア・マネジメントの調査でも、組織の成果は経営者と従業員の対話の質に大きく依存すると指摘されています。伝えることと聴くこと、この双方向があって初めてコミュニケーションが成立するんです。

Chapter 4

よくある失敗パターン ― こうなったら要注意

ミカ

伝え方の大事さはわかってきました。逆に、やってしまいがちな失敗パターンってありますか?

タカシ

よくある失敗パターンとして、まず一番多いのが「抽象的な指示」です。「もっと頑張れ」とか「意識を高く持て」って言ったことありませんか?これ、実は相手にとっては何をすればいいか全くわからないんです。

ミカ

うっ、言ったことあるかも。「頑張ります」って返されて、結局何も変わらなかったことがある気がします。

タカシ

二つ目は「結論を後回しにする」パターン。経緯や背景を長々説明してから結論を言うと、聞き手は途中で集中力を失います。ビジネスでは結論から先に伝えるのが鉄則です。さっきのPREP法がまさにこれを防いでくれますね。

ミカ

確かに、会議で延々と経緯を説明されて「で、結論は?」ってなること、ありますよね。

タカシ

そして三つ目が「感情的に伝えてしまう」こと。怒りや焦りをそのまま言葉に乗せると、内容よりも感情が先に届いてしまいます。相手は防御的になって、本質が伝わらなくなる。

ミカ

あー、それわかります。怒られてるときって内容より「怒ってる」ってことしか残らないんですよね。

タカシ

最後に、「伝えたつもりになる」という落とし穴。一度言っただけで相手が理解したと思い込むのは危険です。特にメールやチャットでは、受け手の解釈がずれやすいので、確認のプロセスを入れることが大切です。

Chapter 5

クロージング ― 明日から実践できるアクション

ミカ

失敗パターン、身に覚えがあるものばかりでした。最後に、リスナーのみなさんが明日からすぐに実践できることを教えてもらえますか?

タカシ

はい、まず一つ目。報告・相談・提案の場面で、PREP法を意識してみてください。結論、理由、具体例、結論の順番です。最初は型どおりで大丈夫。繰り返すうちに自然にできるようになります。

ミカ

型があるって安心しますね。まずは型に当てはめるところから。

タカシ

二つ目は、指示を出すときは「何を、いつまでに、なぜ」の3点を必ずセットにすること。曖昧な指示をやめるだけで、チームの動きが格段に変わります。

ミカ

何を、いつまでに、なぜ。覚えやすいですね。

タカシ

三つ目は、伝えた後に「ここまでで不明な点はありますか?」と確認すること。あるいは「念のため、やることを復唱してもらえますか?」と聞くのも効果的です。これだけで認識のズレを大幅に減らせます。

ミカ

伝え方って、結局は相手への思いやりなんですね。自分が言いたいことを言うんじゃなくて、相手にちゃんと届くように工夫する。

タカシ

そのとおりです。伝え方は才能ではなく技術。そして技術は練習で必ず上達します。ぜひ今日の内容を、明日の会議や部下との会話で一つでも試してみてください。

ミカ

今日もたくさん学びがありました。みなさんもぜひ実践してみてくださいね。それでは、また次回お会いしましょう!